1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771111
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
元木 達也 愛知学院大学, 歯学部・歯科補綴学・第一講座, 助手 (20301632)
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Keywords | 咬合高径 / 顆頭位 / 顎機能解析装置 |
Research Abstract |
本研究の目的は,咬合採得時,特に無歯顎や部分床義歯におけるすれ違い咬合などにおいて,患者の口腔内の状況から明確な咬合高径が推測できない臨床症例における咬合高径決定の指針を得ることにある.本研究ではまず幾能的咬合高径決定の方法として現在臨床応用されている下顎安静位法,発音位と発音空隙を応用する方法,嚥下を応用する方法について,それぞれの顆頭位を測定し,それらが咬頭嵌合位のそれに対していかなる位置を示すかを明かにする.その後,咬合高径を変化させた場合の,これらの顆頭位の変化を考察し,最も適切と考えられる咬合高径の基準を得る.本年度は5名の被験者の顆頭の動きを,下顎運動解析装置CONDYLOOOMPLR3を用いて測定した.その結果,下顎安静位法では10秒間の測定において測定開始時から約7.5秒経過した後には,被験者の顆頭の動きは安定し,変化の少ないものとなった.この顆頭変位の様相は,左右顆頭で比較的差の少ないものであった.また5回の測定において,3名が垂直方向の顆頭変位量が0.04mm以内と小さく,かつ安定していた.しかし,他の2名では垂直方向に0.15mm以上の変位を示した場合もあった.発音位と発音空隙を応用する方法では,下顎の比較的安定するusi,usu,putuを素早く5回発音させ,それぞれの顆頭位を測定した.このいずれの発音においても,下顎頭の運動は下顎安静位法のそれより大きくなる傾向を示し,その変位量は垂直方向で最大約1mmに達する者もみられた.顆頭変位の様相は前後,左右,垂直方向で左右顆頭において差が発現する変位であた.嚥下を応用する方法では,現時点では咬合高径を変化させた測定を行っていないため,嚥下時における顆頭の変位は咬頭嵌合位のそれと顕著な違いは認められなかった.今後は,咬合高径を変化させた後の摂食から嚥下に至るまでの顆頭の挙動について検討する予定である.
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