1999 Fiscal Year Annual Research Report
シェーグレン症候群患者に対するムスカリンアゴニストの治療薬としての有用性の検討
Project/Area Number |
10771151
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
木津 康博 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (20297344)
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Keywords | シェーグレン症候群 / ムスカリンアゴニスト / 一酸化窒素(NO) / NO合成酵素 / 唾液分泌 |
Research Abstract |
in vivoにおいてICRマウスに対しムスカリンアゴニストとNO合成酵素阻害剤であるL-NMMAを投与することにより、ムスカリンアゴニストのNOを介した唾液分泌効果について検討した。また、in vitroにおいてヒト唾液腺上皮細胞株であるHSG-AZA3およびヒト血管内上皮細胞株であるHUVECを用い、ムスカリンアゴニストのNO産生に与える影響について検討した。更にSS患者、健常者の口唇腺及びICRマウスの顎下腺において抗NOS抗体を用いて免疫組織学的検討を行った。これらの実験により以下の結果および結論を得た。 1.ムスカリンアゴニストおよびL-NMMA併用投与群では投与10分、15分後においてムスカリンアゴニスト単独投与群に比べて有意に唾液分泌量の増加が認められた。 2.ムスカリンアゴニストは容量依存的にHSG-AZA3からのNO産生を抑制した。 3.ムスカリンアゴニストは容量依存的にHUVECからのNO産生を亢進した。 4.SS患者口唇腺組織では健常者に比較して強いiNOS発現が腺房上皮細胞および血管内皮細胞の細胞質に認められた。 5.SS患者、健常者口唇腺組織の両方において腺房上皮細胞および血管内皮細胞の細胞質にcNOS発現が認められた。 以上、ムスカリンアゴニストは唾液分泌を亢進させるが、一方では血管内皮細胞からのNO産生を誘導する可能性が考えられ、本実験からNOが唾液分泌抑制の一因となることが明らかになった。またシェーグレン症候群の唾液腺では腺組織内でiNOSの発現が認められ、局所での過剰なNO産生により唾液分泌障害が生ずる可能性も示唆された。
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