1999 Fiscal Year Annual Research Report
β-ラクタム薬耐性口腔嫌気性グラム陽性球菌のペニシリン結合タンパク質の変異
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10771160
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
三ヶ山 茂樹 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (30298822)
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Keywords | 嫌気性グラム陽性球菌 / レンサ球菌 / 腸球菌 / β-ラクタム薬耐性 / PBP遺伝子 / PCR |
Research Abstract |
高齢化社会の到来とともに高齢者肺炎が問題となっている。その起炎菌に口腔常在菌が関与することが明らかにされるとともに、penicillinn耐性肺炎球菌(PRSP)に耐性遺伝子を伝達したことが証明されている。しかし、ヒト口腔におけるPRSPに関与しているPBP遺伝子の口腔内細菌における分布については全く解析されていない。実験趣旨を了解した被験者の口腔より嫌気性グラム陽性球菌、口腔レンサ球菌および腸球菌を分離した。その中から、嫌気性グラム陽性球菌25株、口腔レンサ球菌108株、腸球菌70株および嫌気性グラム陽性球菌の標準株8株を選択し、β-ラクタム薬のMICを日本化学療法学会標準法の寒天平板希釈法(通性嫌気性菌はMuller-Hinton寒天培地、嫌気性菌はGAM寒天培地)で測定した。その結果、嫌気性グラム陽性球菌のMICが通性嫌気性菌のそれよりも高かった。β-ラクタマーゼ活性はいずれの供試菌株からも検出されなかった。つぎに、1μg/ml以上のMICを示す嫌気性グラム陽性球菌14株、レンサ球菌7株からDNAを抽出した。このDNAを鋳型としてPRSPで報告されているPBP 1A(pbp 1a)、PBP 2X(pbp 2x)およびPBP 2B(pbp 2b)のプライマーを用いてPCRを行い、アガロースゲル電気泳動後にバンドの状態を調べると、レンサ球菌から肺炎球菌のPBP 1A(pbp 1、430bp)に匹敵するバンドがレンサ球菌の1株から得られたが、嫌気性グラム陽性球菌からはこのバンドは検出されなかった。この事実は、β-ラクタム薬耐性に関与するPBP遺伝子が口腔におけるグラム陽性球菌間で伝達されている可能性を示唆し、高齢者の肺炎対策において重要な課題となることを示している。
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