1998 Fiscal Year Annual Research Report
循環変動のスペクトル解析を用いた自律神経活動とストレス評価
Project/Area Number |
10771163
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
久保田 智彦 福岡歯科大学, 歯学部, 助手 (00248551)
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Keywords | 寝たきり者 / ストレス / 自律神経活動 / 心拍変動スペクトル解析 |
Research Abstract |
寝たきり者は,ストレスに対する予備力の著しい低下を来していることが多く,歯科治療中に受けるストレスにより偶発症発生の危険性も高いと考えられる.そこで寝たきり者と同年代の健常者を対象に非侵襲的に測定した心電図R-R間隔の変化である心拍変動のスペクトル解析から歯科治療時のストレスに対する心臓交感神経活動,心臓副交感神経活動を推定した. 安静座位にした寝たきり者では,健常者に比べ自律神経活動の低下傾向が見られたが,それぞれの自律神経活動をみると,ともに心臓副交感神経活動の指標となる高周波(HF:0.15-0.4Hz)成分の積分値が大きく,相対的な心臓交感神経活動の指標となる低周波(LF:0.04-0.15Hz)成分と高周波(HF:0.15-0.4Hz)成分の積分値の比(LF/HF比)が小さいことから,心臓副文感神経活動が促進され,心臓交感神経活動が抑制されていると考えられた. 今回痛みストレスとして用いた局所麻酔を行った後では,健常者でLF/HF比の増加傾向が認められ,心臓交感神経活動が促進されたと考えられた.寝たきり者では安静時と同様に心臓自律神経活動自体は低いが,安静座位に比べHFの増加とLF/HF比の低下傾向がみられ,局所麻酔により心臓副文感神経活動の促進,心臓交感神経活動の抑制傾向が推測された. 以上のように寝たきり者に対する局所麻酔ストレスにより健常者の自律神経活動と異なる変化を示したことから,心拍変動スペクトル解析による自律神経活動にストレス評価に応用できると考えられた.
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