1998 Fiscal Year Annual Research Report
トランスフェリン・PEG-リポソームを用いた癌治療遺伝子の固形癌への送達法の開発
Project/Area Number |
10771272
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
石田 理 帝京大学, 薬学部, 助手 (60246022)
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Keywords | トランスフェリン / PEG-リポソーム / TNF / リポプレックス / 固形癌 / 遺伝子療法 / プロタミン |
Research Abstract |
申請者は、平成10年度の達成課題である『トランスフェリンPEGリポソームを用いた導入遺伝子の封入法の開発』に対し、以下の実験を行ったので、その結果を報告する。 実験は、リポソーム-DNA複合体(リポプレックス)を調製し、その粒子径、DNA封入率、遺伝子の発現について動的散乱法、電気泳動、培養細胞へ導入したレポーター遺伝子の発現(β-ガラクトシターゼ活性)等から検討を行った。計画・方法の(1)に示した『陽荷電脂質リポソームを用いた遺伝子の封入法』については、リポプレックスの作成法について検討を行った。リポプレックス作成時にDNA溶液の混合を凍結乾燥リポソームに対して行うことで、脂質薄膜に対してするよりも、粒子径、DNA封入率等が、均一に作成されることが示された。計画・方法の(2)に示した『陽荷電物質を核にしたDNA複合体をリポソームに封入する方法』については、陽荷電物質について検討を行った。陽荷電物質として、プロタミン、ポリリジン、スペルミジン等について検討を行ったところ、そのDNAの封入率と粒子径についてはさほど大きな差は得られなかったが、培養細胞(COS-7)に対するβ-ガラクトシターゼ活性の発現に顕著な違いが見られ、特にプロタミンとポリリジンにおいて高い発現が観察された。更に、このプロタミンを用いたリポプレックスにトランスフェリンを添加することで、無添加のものと比べ2倍に達する発現が見られ、トランスフェリンを用いる有用性が確認された。 以上が、本研究における経過であるが、1999年2月に米国・U.C.S.F..にて、ウィルスに依らない遺伝子キャリアーの開発の会議が開催され、そこで様々なリポプレックスの作成法が報告された。このことは、この分野の発展と必要性を示し、本研究においても更なる改良を行うために、次年度においても継続して行う必要が感じられた。
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