1999 Fiscal Year Annual Research Report
常在性および炎症性マクロファージの活性化機構に関する研究
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10771290
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田井 章博 岡山大学, 薬学部, 助手 (70284081)
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Keywords | マクロファージ / Gcグロブリン / 糖鎖修飾 / Fcγ R介在性貧食 / レクチン / 活性酸素 / IL-1β / TNF-α |
Research Abstract |
Gcグロブリンは、分子量約54,000のビタミンD_3結合性糖タンパク質として以前から知られている。アガロースゲルに固定化したsialidase、endo-N-acetylgalactosaminidase、β-galactosidaseを用いて調製した4種類の糖鎖修飾Gcグロブリン{mGc(GalNAc),mGc(Gal),mGc(SA),mGc(-):( )内は末端糖鎖を表す}及び非修飾Gcグロブリンを用い、常在住及び炎症性マクロファージのFcγ R介在性貧食能(10年度報告)以外のマクロファージの機能に対するmGcの作用について検討した。その結果、種々のmGcは、常在性及び炎症性マクロファージの活性酸素種(O_2,H_2O_2)産生量を増加させた。各マクロファージにおける活性酸素種産生量は末端糖鎖の種類により異なっていた。NO産生に関して常在性マクロファージは、どのmGcに対してもほとんど応答せず、炎症性マクロファージはmGc(GalNAc)のみによってNO産生を促進させた。また、マクロファージが分泌する炎症性サイトカインの発現に関してmGc(GalNAc)は炎症性マクロファージにおいてIL-1βとTNF-αのmRNA発現を1.5〜2倍に増加させた。これらのことから、mGcはFcγ R介在性貧食能の促進だけでなく、殺菌物質や抗腫瘍物質を放出させ、殺菌作用や細胞傷害活性を発揮し、さらにサイトカイン産生を通して他の免疫系にも影響を及ぼしていることが示唆された。今後、生体局所における糖鎖の変化を認識して活性化されるマクロファージの応答をDifferential Display法などをもとに分子レベルで解析することにより、生体防御機構における未知なる応答が発見できると思われる。
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