1998 Fiscal Year Annual Research Report
地域における高齢者の転倒と転倒への恐れに関する研究
Project/Area Number |
10771357
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
狭川 庸子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00301143)
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Keywords | 転倒 / 転倒への恐れ / 高齢者 / 重心動揺 / 日常生活動作 / 家族介護者 / 地域看護 |
Research Abstract |
地域の高齢者で、転倒の経験や転倒を恐れる気持ちから、もてる能力を十分に発揮することなく消極的な生活を送っているような対象が、安全を考慮しつつ、積極的な生活を送れるようにするための効果的な介入を検討するために、都内の老人保健施設入所中の高齢者及び家族を対象に転倒経験、転倒への恐れの気持ち、高齢者の平衡機能について検討し、併せて、実施可能な介入に関する文献的研究を実施した。 都内の老人保健施設入所または通所中の高齢者で、自力歩行可能(転倒ハイリスクの移動能力レベルと想定)で痴呆等認知障害の認められない者32名を対象に、調査票を用いた面接調査および重心動揺測定を実施した結果、転倒の既往と平衡機能との間には一部有意な関連が見られたものの、転倒への恐れの有無と平衡機能との間には有意な関連はみられなかった。重心動揺の測定に際しては、日常杖を使用している者の測定方法について検討の必要性が示唆された。対象者が転倒を恐れる動作としては、Falls Efficafy Scaleの10項目の動作のうち、入浴や移動動作時に転倒の心配を感じる者が多かった。項目以外で心配を感じる動作を尋ねたところ、トイレ動作を答える者が複数あった。家族介護者にも同様に、各動作に対する高齢者の転倒への心配度を尋ねたところ、高齢者自身は心配ないとしているが、介護者が心配している場合が多くみられた。高齢者が自らの能力を過信しているか、介護者の心配過剰かは今回の結果からは特定できないが、高齢者と周囲の者を含めた対応が望まれる。 地域における転倒と転倒への恐れに関する介入についての文献研究の結果、転倒予防に対しては運動プログラム、環境改善プログラム等見られた。併せて、骨折予防のHip Protectorの開発と効果測定に関する研究が近年散見されており、高齢者の転倒と関連した身体機能維持に今後利用可能性があるものと考えられた。
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