1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780293
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤塚 洋 東京工業大学, 原子炉工学研究所, 助教授 (50231808)
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Keywords | ヨウ素レーザー / 酸素プラズマ / 放電励起レーザー / 酸素分子準安定状態 / 大気圧酸素プラズマ / 原子炉廃炉用レーザー / 放電プラズマ / 励起状態生成消滅 |
Research Abstract |
実験的な取り組みとして、大気圧マイクロ波放電酸素プラズマを用いてヨウ素レーザー用励起酸素発生の可能性を検討した。励起酸素の自発放出過程の計測を行い、励起酸素分子の数密度計測を試みた。残念ながら励起酸素からの信号は得られなかった。よってこのプラズマを用いたレーザー発振は不可能であると判断した。 ついで、化学平衡計算の手法を用い、励起酸素発生のための効率的プラズマパラメータのサーベイを行った。この手法は解析したい化学系に対し簡単な素反応に基づくモデルを作り、そのモデル中の化学種の起こす化学反応を反応速度定数と言う形で考慮したものである。高温の酸素ガス中での原子-分子反応と、プラズマ中の電子による電子衝突励起などを含めた。「電子衝突励起と電子衝突脱励起」や「分子衝突解離と再結合」など、化学反応の正逆両方の反応をできる限り考慮に入れ、これらの間の釣り合いの条件から平衡状態を求めた。その結果、酸素分子は3500K程度から活発に酸素原子へ解離している。酸素分子が解離する以前の3500K以下の条件では、電子衝突による励起酸素の発生が主要な過程となるには温度や電子密度が低すぎる。もっと温度が高くないと電子衝突励起の過程が大きくならない。しかし、そのような高温状態では原子-分子反応が活発なために酸素分子が解離してしまうようだ。圧力を高くして分子を解離させずに電子衝突で励起反応を起こさせる効果は、大気圧放電ではあまり期待できないという結果が得られた。励起酸素を効率的に発生させる為には、ガス温度と電子温度の間に熱的な非平衡状態が生じているプラズマが必要となる。理論的な予測を行った結果、ガス温度2000Kの条件で(全圧力,電子温度)の適正値の組は、(0.1Torr,8000K)(1Torr,9000K以上)(10Torr,9000K以上)(100Torr,9000K以上)となった。放電励起により励起酸素を高効率発生させるには、「電子温度とガス温度の非平衡状態を、なるべく高い圧力で作り出す。」という、相反する厳しい条件が必要であるという結論が得られた。
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Research Products
(2 results)