1998 Fiscal Year Annual Research Report
有用微生物群による生分解性ポリマーの分解促進効果の定量化
Project/Area Number |
10780344
|
Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
大澤 敏 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (50259636)
|
Keywords | 生分解性ポリマー / 有用微生物 / ポリ乳酸 |
Research Abstract |
平成10年度は、有機廃棄物(人工生ゴミ、農業廃棄物)中で生分解性プラスチック(ポリ乳酸)を分鱒する際に、下記の5種類の有用微生物群を添加し、その分解促進効果を温度の異なる条件下で調べた。分解効果はポリ乳酸の力学強度及び分子量低下で評価した。 1群:乳酸菌群、酵母菌群を主体とした発酵型微生物群2群:光合成菌群を主体とした合成型微生物群3群:浄菌型微生物群4群:1〜3群を混合したもの5群:メタン生成菌群(メタン生成過程の微生物共生系) その結果4人工生ゴミ中36℃では、分解促進効果は4群>2群≧1群>3群>5群であり特に4群の微生物群を添加した場合には2群に比べ40%分解が促進された。このことから1〜3群を混合した微生物群の添加が分解促進に有効であることが分かった。また、50℃では、4群はポリ乳酸の結晶部分の分解を促進することが分かった。 一方、農業廃棄物である牛糞中では、36℃では1〜5群の添加効果はほとんど認められなかったが、50℃以上で5群の添加効果が極めて高く、5群の添加により分解の活性化エネルギーが10kJ/mol低下することが分かった。この場合の分解速度は、アーレニウス式に従い、任意の温度で分解速度を定量的に制御または予測できるという新しい知見が得られた。 また、屋外でのポリ乳酸の分解性を重回分析により気象条件と関係付けた結果、日照による光分解と降雨による加水分解の寄与率が3:2であることが明らかとなり、屋外における実環境では単純な微生物群添加だけでは分解促進効果を正確に表現できないことが明らかとなった。従って、平成11年度には、微生物群の種類と数に加えて、日照や水分量を解析項目(分解原因を表す説明変数)に加え、力学物性(または分子量)との関係を重回帰分析し精度良い分解効果の定量化を行う必要性が明確になった。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] Satoshi Osawa: "Biodegradation of Poly(L-lactic acid)Enhanced by Effective Microorganisms" Reports on Progress in Polymer Physics in Japan. 41. 649-650 (1998)
-
[Publications] 大澤敏: "有用微生物群によるポリ乳酸の分解促進効果" マテリアルライフ. 11・3. (1999)
-
[Publications] 大澤敏: "メタン醗酵下におけるポリ乳酸の分解挙動" 材料技術. 16. (1999)