1998 Fiscal Year Annual Research Report
水圏生物の放出型生理活性物質-モデル水槽水からの単離と構造研究-
Project/Area Number |
10780355
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大井 高 徳島大学, 薬学部, 講師 (00203696)
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Keywords | 海洋天然物 / 生理活性物質 / 構造決定 |
Research Abstract |
300、450リットルの水槽を用い以下に示す生物について検討を行った。1.褐藻シマオウギ(Zonaria diesingiana)の培養とエイコサペンタエン酸(EPA)関連物質:シマオウギには高脂血症に有効なEPAに容易に変換可能なフロログルシノール誘導体が多量に含有されている。シマオウギ成体の培養を試みたところ4ヵ月程度は藻体を維持でき、水槽水を吸着樹脂に通過させところこれら化合物の存在が確認できた。藻体の短寿命は光量不足が原因と考えられ光源を換えさらに培養を継続しており藻体の回復、新たな採集により再検討を行う予定である。2.甲殻類オオミジンコ(Dapnia magna)の飼育と植物プランクトン形態変化誘発物質:Scenedesmus属やActinastrum属の植物プランクトンは捕食者であるミジンコ類との共存により形態を変え大きな群体を形成する。これはミジンコに由来する何らかの物質(カイロモン)を感知し捕食されにくく形態を変えた結果であると考えられる。そこでこれら藻類のミジンコ飼育水に対する形態変化について調べたところ濃度依存性を持って大きな群体が誘発されることが確認され、しかも活性物質は吸着樹脂で回収が可能であり、極めて低濃度で活性を持つことも分かった。活性物質を大量に取り出すため大型水槽でオオミジンコの飼育を行い定期的に活性物質を回収しており分離について検討中である。3.緑藻スジアオノリ(Enteromorpha prolifera)の培養と遊走子走光性逆転物質:培養中、生物検定中、4.ウニ類ガンガゼ(Diadima setsum)の飼育と警報物質および魚類プテラポゴンとの共生物質:飼育中、生物検定検討中、5.腔腸動物アジサイイソギンチャク(Antheppsis cookei)の飼育と生理活性物質:予備飼育中、平成11年度本格的飼育予定。
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