1998 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の活動に伴う細胞骨格系タンパク質のチロシンリン酸化
Project/Area Number |
10780383
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥村 宣明 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (20224173)
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Keywords | 神経 / チロシンキナーゼ / カルシウム |
Research Abstract |
動物の神経系では、神経細胞の活動に伴い種々の蛋白質のリン酸化が起こっており、これらが神経細胞間の情報伝達やシナプスの可塑性に極めて重要と考えられるが、まだリン酸化される蛋白質の同定は進んでいない。 私たちはまず、神経芽細胞種において、カルシウムイオン依存的にCas、及びパキシリンと呼ばれる細胞骨格蛋白質がチロシンリン酸化することを明らかにした。次に、ラット脳から調整した初代培養神経細胞を用い、哺乳類の脳で最も重要な神経伝達物質のひとつであるグルタミン酸を与えたとき、細胞外からのカルシウム流入に応じてパキシリンがチロシンリン酸化することを明らかにした。一方、同じ細胞をKClで刺激した場合には、カルシウムの流入は起こるがパキシリンはリン酸化しなかった。これらの結果は、(1)神経細胞の活動に伴ってカルシウム依存的に細胞骨格蛋白質がチロシンリン酸化すること、(2)細胞骨格蛋白質のチロシンリン酸化は、カルシウムの流入が細胞内のどの部位で起こるかに依存すること、を示唆している。 次に、神経系で主要なチロシンキナーゼであるSrcファミリーキナーゼが細胞骨格画分に存在することから、Srcと結合する蛋白質を細胞骨格画分より精製した。その結果、SrcのSH3ドメインと結合するタンパク質として新たに5種類の蛋白質を同定したが、これらはすべてRNA結合蛋白質であり、細胞骨格とは関連のないものであった。 現在、固定化pH勾配等電点電気泳動を用いた二次元電気泳動により、神経細胞の活動に依存してチロシンリン酸化する蛋白質の検索をさらに進めると共に、質量分析法を利用した新しい蛋白質の解析法を用いて、SrcファミリーのSH3ドメインに結合する蛋白質の同定を進めている。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] S.Kobayashi,N.Okumura,M.Okada and K.Nagai: "Depolarization-induced Tyrosine Phosphorylation of p130Cas." Journal of Biochemistry. 123. 624-629 (1998)
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[Publications] A.Hashida-Okumura,N.Okumura.: "Interaction of Neuronal Nitric Oxide Synthase with ai-syntrophin in the rat Brain." Journal of Biological Chemistry. (in press).