1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10780406
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井原 邦夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90223297)
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Keywords | F_0F_1ATPアーゼ / Cサブユニット / V型ATPアーゼ / A型ATPアーゼ |
Research Abstract |
F_0F_1ATPアーゼのcサブユニット変異体を効率よく作成するために、FoFlATPアーゼの全サブユニットをコードする発現ベクターpBWUl3の改変を行った。改良点は以下の2点である。(1)aサブユニットの遺伝子中にある2個のBamHI部位の最初の部位をアミノ酸変異を伴わずに取り除いて、2番目の部位がプラスミド上で唯一の部位となるようにした。(2)aサブユニットとcサブユニットの間のアミノ酸非コード領域にユニークな制限酵素部位としてSpel部位を導入した。この改変プラスミドpBWU13ΔBを用いて、cサブユニットのサイズ変化の実験と2倍体型のcサブユニットの前半部分のみにおいて、プロトン輸送に重要なアスパラギン酸残基をアスパラギンに変化させた、いわゆるV型のcサブユニットの発現実験を行った。その結果、サイズ変化の際に導入するループ長が6残基程度の場合、2倍体型のcサブユニットをもつFoFlATPアーゼは野生型同様に機能したが、3倍体型のcサブユニットをもつFoFlATPアーゼは、野生型の1/10程度の活性しかなかった。また、V型のcサブユニットをもつFoFlATPアーゼは、ATP合成、水解の活性を示さず、このプラスミドを野生株(正常のFoFlATPアーゼをもつ)に導入したところドミナントネガティブの性質を示した。この変異に対する抑圧変異体を探した所、すべて戻り変異であった。以上の結果は、大腸菌では、cサブユニットが機能するときは、すべてのcサブユニットが活性アスパラギン酸残基を保持していなければいけないとするこれまでの主張を支持すると同時に、cサブユニット間での空間的拘束がATPアーゼ活性に影響を与えるという新しい知見を得た。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Ihara.et al.: "Evolution of the Archaeal Rhodopsins" Journal of Molecular Biology. 285・1. 163-174 (1999)
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[Publications] 井原邦夫(分筆): "古細菌の生物学(第12章,第13章)" 東京大学出版会, 206-238 (1998)