1998 Fiscal Year Annual Research Report
マウスのシナプス形成におけるSIF蛋白質とHIG蛋白質の機能解析
Project/Area Number |
10780471
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
星野 幹雄 大阪大学, 細胞生体工学センター, 助手 (70301273)
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Keywords | シナプス形成 / SIF / HIG |
Research Abstract |
本研究はシナプス形成に関与することが示唆されているショウジョウバエ遺伝子sifおよびhigのマウスホモログを単離し、その機能の解析を通して、シナプス形成の分子メカニズムの解明を目指すものである。本年度は以下の結果を得た。 RT-PCR法により、sif遺伝子の2つのマウスホモログを得ることに成功した。1つは新しい遺伝子stefであり、もう一つは既に同定されていたTiaml遺伝子であった。stef遺伝子のcDNAの構造解析から、この遺伝子はSIF蛋白質と同様、PH,PDZ,DHドメインといった細胞内シグナル伝達機構に関与すると思われる構造を持った細胞内蛋白質をコードしているという事がわかった。また、in vitroの化学反応系を用いた実験から、この蛋白質はRho類似G蛋白質のうちのRacに特異的なグアニンヌクレオチド交換因子(GEF)活性を持つこと明らかになった。さらに培養細胞系を用いた実験で、この分子が細胞内のアクチンフィラメントの構造を変化させてラッフリング膜を作らせる活性があることがわかり、in vivoでもRacに対するGEF活性を持つことが示唆された。またin situハイブリダイゼーション実験から、stef遺伝子は発生途上の脳、特に移動中の神経細胞や神経突起を伸ばしたりシナプスを形成している時期の神経細胞で強く発現していることが明らかになった。以上の結果から、STEF分子がRacの活性化を介してアクチン細胞骨格系の構造変化を引き起こし、神経細胞の移動や神経突起の伸長、およびシナプス形成等に関与していることが示唆された。 来年度はさらにin vivoにおけるsif遺伝子およびTiaml遺伝子の機能解析を通して、シナプス形成の分子メカニズムの解明に努める。 hig遺伝子のマウスホモログに関しては、ハイブリダイゼーション法、RT-PCR法のいずれの方法をも用いてみたが、今のところまだクローニングには至っていない。しかし、線虫のhig遺伝子を得ることには成功した。来年度も引き続きクローニングを試みる。
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