1998 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物モデルを用いた行動制御遺伝子の同定と高効率スクリーニング法の確立
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10780481
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
木野内 忠稔 自治医科大学, 医学部, 助手 (90301457)
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Keywords | アルツハイマー病 / D-アスパラギン酸 / ゼブラフィッシュ / アミロイド / GRP78 / BiP / アミロイド前駆体タンパク質 / シャペロン |
Research Abstract |
アルツハイマー病の原因蛋白質の一つであるプレセニリンのノックアウトマウスは、神経発生に障害が起こることが明らかにされている。このことは、脊椎動物において、神経発生の初期過程に発現する遺伝子が、その後の脳の高次構造や記憶、行動に重要な影響を与えていることを示す良い例である。従って、研究代表者は、アルツハイマー病発症の分子機構の解明には、神経発生に関わる遺伝子のスクリーニングと、その効率的な実験方法の開発が重要であると考え、ゼブラフィッシュを動物モデルとした研究計画を立案していた。一方、アルツハイマー病において老人斑の主成分であるアミロイドβ蛋白質は、加齢と共にD-アスパラギン酸を含むタイプが蓄積することが明らかになり、病態との関連が指摘されてきた。さらに、D-アスパラギン酸が、哺乳類の特定の組織に高濃度に認められ、発生や成長過程で一過性の特徴ある濃度変化を示すことも明らかになった。以上のことから、研究代表者は、D-アスパラギン酸を含むペプチドを分解する酵素、即ち、D-aspartyl endopeptidase(以下DAEP)の存在を仮定し、D-アスパラギン酸を含むペプチドの分解活性を指標としてウサギ肝臓からDAEPの精製を行った。精製標品のN末端配列を分析したところ、小胞体においてシャペロンとして機能するglucose-regulated protein 78(GRP78/BiP)と一致することが分かり、BiPに対する抗体でDEAP活性画分を免沈すると、抗体濃度依存的にDEAP活性は減少した。現在では、BiPのDEAPとしての詳細な酵素学的研究を進めており、発生期におけるD-アスパラギン酸の生理的役割を明らかにするため、トランスジェニックフィッシュの構築に向けてBiPのクローニングを行った。
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