1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10835010
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐々木 仁 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (40104236)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我 祥子 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30068556)
磯 博之 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (80068585)
井上 徹 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (60263282)
|
Keywords | 驚愕反射 / 色覚 / 情動 / 反応時間 / 色の記憶 / 先行刺激効果 / ポケモン脳波 / 色の嗜好度 |
Research Abstract |
色覚刺激が生体に及ぼす影響について、以下の4つの実験を実施した。 1)色の単純反応時間:色相、彩度、輝度を変化させた刺激を用いてヒトの単純反応時間を計測した。有彩色では赤と緑に対する反応時間が速い傾向が認められ、無彩色と有彩色の比較では、青を除いて有彩色の方が反応時間が有意に速かった。他方、彩度による反応時間の相違は認められなかった。また、SD法を用いて調べた色彩刺激の嗜好度は青が最も高く、黄が最も低く、反応時間との相関は認められなかった。以上より、色相は覚度、情動に影響することが示された。 2)色の記憶:異なる色相の刺激を用い、ヒトで遅延見本合わせ課題を行った。明所視下に標本刺激を中心窩に提示し、3秒の遅延後、同一色相で、明るさ、または彩度が異なる比較刺激を同時提示して標本選択の正答率を求めたところ、緑の正答率が高く、青では低かった。一方、比較刺激だけを提示した弁別は緑で低く、青で高かったことから、色相により記憶の困難さに相違があることが示された。 3)閃光刺激が脳波に及ぼす影響:ポケモンTV放映によって入院した患者について3-20Hzの閃光刺激を提示し、脳波を解析したところ、特徴的な、α波成分の引き込み現象が観察された。色刺激に対する反応については、今後の課題である。 4)色が驚愕性眼瞼反射に及ぼす影響:角膜への空気の吹き付けによって生ずる驚愕反射を記録した。空気の吹き付けに100ms先行させて、色相の異なる刺激を提示したところ、1)いずれの先行刺激も、驚愕反射の振幅を有意に減少させ、2)黄色に対する振幅は他に比べて小さかったことから、黄色は情動反応の抑制効果が高いことが示唆される。
|
Research Products
(16 results)
-
[Publications] Sasaki H.tu et al.: "Prepulse facilitation of auditory startle response in hamsters"Neuroscience Letters. 248(29. 117-120 (1998)
-
[Publications] 磯 博行: "ラットのアルコール摂取行動に及ぼす長期心理的ストレスの効果"産業ストレス研究. 5:. 99-105 (1998)
-
[Publications] 佐々木 仁、福田 淳: "視神経細胞のシナプス再形成と機能回復"別冊・医学のあゆみ 神経細胞死制御. 159-163 (1998)
-
[Publications] Sasaki H.et al.: "Recovery of visual behaviors in adult hamsters with the peripheral nerve graft to the sectioned optic nerve"Experimental Neurology. 159(2). 377-390 (1999)
-
[Publications] 曽我祥子: "小学生用5因子性格検査(FFPC)の標準化"心理学研究. 70. 346-351 (1999)
-
[Publications] 磯 博行: "嫌悪条件づけ事態でのラットの行動の分析:スタビリメーターを用いて"心理学研究. 70. 24-29 (1999)
-
[Publications] Iso H.et al.: "Reinforcement enhances hippocampal acetylcholine release in rats : An in vivo microdialysis study"Behavioural Brain Research. 101. 207-213 (1999)
-
[Publications] 安藤明人,曽我祥子,他: "日本版 Buss-Perry 攻撃性質問紙 (BAQ) の作成と妥当性,信頼性の検討"心理学研究. 70. 384-392 (1999)
-
[Publications] Yukawa K.et al.: "Impaired water-maze performance in mice lacking transcription factor CCAAT/enhancer-binding protain"Neuroscience Research Communications. 26. 59-67 (2000)
-
[Publications] Inoue T.et al.: "Axonal regeneration of mouse retinal ganglion cells by peripheral nerve transplantation: a quantitative study"Restor. Neurol. Neuroscience. (in press). (2000)
-
[Publications] Inoue T.et al.: "Axonal regeneration of retinal ganglion cells by peripheral nerve transplantation in adult bcl-2 transgenic mice"Restor. Neurol. Neuroscience. (in press). (2000)
-
[Publications] 磯 博行: "学習する脳・記憶する脳"裳華房(東京). 170 (1999)
-
[Publications] 磯 博行、他(編): "心理学辞典"有斐閣、(東京). (1999)
-
[Publications] 磯 博行: "神経科学的アプローチから性格をとらえる,性格研究の技法,(杉山憲司,堀毛一也 編)"福村出版,(東京). (108-116)8 (1999)
-
[Publications] 磯 博行(共訳): "メイザーの学習と行動 日本語版 第2版,(J.E.Mazur著)"二瓶社(大阪). 420 (1999)
-
[Publications] 福田淳、佐々木仁(共編): "目から脳へ(仮題)、(R.W.Rodieck著The First Steps in Seeing)"トッパン(東京) (印刷中). (2000)