1999 Fiscal Year Annual Research Report
褐藻類における細胞内強酸性イオン蓄積の進化とアミジグサ目の系統
Project/Area Number |
10836012
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
川井 浩史 神戸大学, 内海域機能教育研究センター, 教授 (30161269)
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Keywords | 褐藻 / 硫酸イオン / 強酸性 / 無機イオン |
Research Abstract |
褐藻アミジグサ目内における強酸蓄積種の分布を明らかにするとともに,イオンクロマトグラフィーを用いた細胞内無機イオンのうち陽イオン(ナトリウム,アンモニウム,カリウム,マグネシウム,カルシウム),陰イオン(塩素,硝酸,亜硝酸,臭素,硫酸)を対象に濃度の解析を試みた.その結旺,アミジグサ目の種は,硫酸イオン濃度と細胞内pHの値から大きく以下の3つのタイプに分類された:1)硫酸イオン非蓄積型(細胞抽出液は強酸性を示さず,海水と同程度の硫酸イオン濃度を蓄積する種);2)強酸性硫酸イオン蓄積型(細胞抽出液は強酸性を示し,高濃度の硫酸イオンを蓄積する種);3)非強酸性硫酸イオン蓄積型(細胞抽出液は強酸性を示さず,高濃度の硫酸イオンおよびマグネシウムイオンを蓄積する種).このことは硫酸イオンが高濃度含まれていても,それに見合う水素イオン以外の陽イオンが含まれていれば細胞内が強酸化しないことを示している.また,強酸性硫酸イオン蓄積型のヘラヤハズには,細胞内pHおよび硫酸の蓄積裏に季節的な変動性は観察されなかったが,非強酸性硫酸イオン蓄積型のアミジグサには,硫酸マグネシウム蓄積裏に季節的な変動性が観察された.結論として,アミジグサ目の多くの種が本来,硫酸イオンを高濃度蓄積する能力を持っているが,一部の種のみが硫酸イオンと同時に水素イオンを高濃度蓄積することで強酸性を示すものと考えられる.また,葉緑体に含まれるrbcL遺伝子の分子系統学的解析においても,強酸性種または硫酸蓄積種が単一のクレードをなすことはなく,同様の硫酸イオン蓄積が目内で一度だけ進化したとされるウルシグサ目の場合とは対照的な結果が得られた.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Chi,Eun-Sup: "Immunogold-labelling analysis of alginate distributions in the walls of chromophyte algae"Phycological Research. 47. 53-60 (1999)
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[Publications] Horiguchi,T.: "Phototactic responses of four marine dinoflagellates with different types of eyespot and chloroplast"Phycological Research. 47. 101-107 (1999)
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[Publications] Boo,S.M: "Molecular phylogeny of Laminariales(Phaeophyceae)inferred from small subunit ribosomal DNA sequences"Phycological Research. 47. 109-114 (1999)
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[Publications] Sasaki,H.: "Highly acidic substance in Dictyotales(Phaeophyceae):Distribution and ion-chromatography of the cell extracts"Journal of Phycology. 35. 732-739 (1999)
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[Publications] Kamiya,M.: ".Reproductive and genetic distinction between broad and narrow entities of Caloglossa continua(Delesseriaceae,Rhodophyta)"Phycologia. 38. 356-367 (1999)