2001 Fiscal Year Annual Research Report
巨大ヘモグロビンの分子構築にみるヘモグロビンの多様性と分子進化
Project/Area Number |
10836015
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
後藤 寿夫 徳島大学, 総合科学部, 教授 (90035692)
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Keywords | ヘモグロビン / 環形動物 / 分子進化 / 超分子 / 糖鎖接着 / ESI-MS / 蛋白質 |
Research Abstract |
環形動物の細胞外ヘモグロビン(Hb)は分子質量が3.5MDaに及ぶ超分子である。本研究では、この巨大Hbのサブユニット構成を明らかにするとともに、グロビン鎖(a, A, b, B)とリンカー(L)との間に糖鎖を介した接着があるとする仮説を検証することを目的としている。前年度までの研究で、サブユニット構成を"12{3(a・A-b-B)3/2L2}"と推定している。本年度の主な結果は以下の通りである。 1.アオゴカイやイトメ等多毛類のHbのサブ構造体(3(a・A-b-B))、つまり4種類あるグロビン鎖の12量体の分子質量をESI-Tof-MSにより初めて直接精密に測定することに成功した。その値は、各鎖の質量値の和を3倍した値に極めてよく一致しており、サブユニット構成を"12{3(a・A-b-B)3/2L2}"とするこれまでの分子モデルが正しいことを実証した(Green, B.N., Gotoh, T., et al., J. Mol.Biol.309,553-560,2001)。 2.アオゴカイHbのグロビン鎖のうち3種類((a, b, B)のアミノ酸配列を決定した。配列から求まる質量値はESI-Tor-MSで求めた値によく一致し、これらのグロビン鎖に糖鎖が含まれないことを示している。また、分子系統樹を描き、2系統あることを確認するとともに、これら2系統(サブファミリー)は脊椎動物のヘモグロビンとミオグロビンが分岐した時期とほぼ同じ頃に分岐したことを明らかにした。 3.アオゴカイHbを蛋白質分解酵素で処理するとリンカー鎖が優先的に消化されることを見つけた。酵素処理後、ゲルろ過にかけることにより、Hbのサブ構造体が単離された。サブ構造体は4種類のグロビン鎖から構成されていることをSDS-PAGEにより確認した。光散乱法により、単離したサブ構造体とHbの分子質量を計測し、サブ構造体がグロビン鎖の12量体であるとの結論を得た(後藤寿夫・四方田千佳子・中西優子・脇加奈子、動物学会中国四国支部会・山口・2001.5.12-13)。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Green, B.N.: "Electrospray Ionization Mass Spectrometric Observation of Large, Noncovalent Globin Subassemblies in the 〜3600kDa Hexagonal Bilayer Hemoglobins"J. Mol. Biol.. 309. 553-560 (2001)