1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10836017
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
矢野 隆昭 昭和大学, 教養部, 教授 (70081792)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 哲男 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 助教授 (50208451)
|
Keywords | 真核生物の初期進化 / ミトコンドリア / 原生生物 / アライメント / 分子系統樹 / リボソーム蛋白質 / 熱ショック蛋白質70 / ペプチド鎖伸長因子 |
Research Abstract |
ミトコンドリアをもたない真核生物の系統的位置を、さまざまな分子種の配列情報データに基づく分子系統樹解析により総合評価することを目的として研究を進めた。 これまでの研究において、培養条件を確立し、核酸抽出に成功している真核生物種(ミトコンドリアを有するものも含む)、すなわち、Giardia lamblia(Diplomonads),Trichomonas vaginalis,T.tenax(Trichomonads),Entamoeba,histolytica(Entamoebidae),Trypanosoma,cruzi(Euglenoids),Blastocystis hominis,Encephalitozoon cuniculi,E.hellem(Microsporidia)については、本年度もこれらの維持を継続して行った。ミトコンドリアをもたない寄生虫でアユに寄生するGlugea plecoglossi(Microsporidia)については、培養ができないため、大量のサンプルを採取して核酸抽出を行った。さらに本年度は、ミトコンドリアをもたない真核生物種で、系統的位置づけが不明であるMastigamoeba balamuthiについて、培養条件を確立し核酸抽出およびその大量調製を行った。 こうした準備状況のもと、G.lambliaのリボソーム蛋白質L29、T.vaginalisのリボソーム蛋白質L1、.E.hellem,E.cuniculi,G.plecoglossi,E.histolyticaのミトコンドリア型熱ショック蛋白質70、B.hominisの細胞質型熱ショック蛋白質70、M.balamuthiのペプチド鎖伸長因子EF-1αおよびEF-2の遺伝子解析を行った。これらのデータを含め、さまざまな分子種によるアライメント解析、分子系統樹解析を網羅的に実施しそれらを総合評価した結果、(1)ミトコンドリアをもたない真核生物に由来する配列はいずれも通常の真核生物型の特徴を有する、(2)ミトコンドリアをもたない真核生物のいずれもが進化の過程でミトコンドリアを2次的に喪失した、(3)B.hominisはStramenopiles(褐藻,珪藻、卵菌など含む分類群)に属しStramenopilesはAlveolata(繊毛虫、双鞭毛藻、Apicomplexaなどを含む分類群)に近縁である、などの点に関しそれらの可能性の高いことを明らかにした。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] Wu, G. and Hashimoto, T.: "Sequence analysis of genes encoding ribosomal proteins of amitochondriate protists: L1 of Trichomonas vaginalis and L29 of Giardia lamblia"Parasitol. Int.. 48. 135-144 (1999)