1998 Fiscal Year Annual Research Report
電磁波の人体に関する影響評価のための標準人体ファントムの開発
Project/Area Number |
10837003
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
伊藤 公一 千葉大学, 工学部, 教授 (90108225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 博幸 千葉大学, 工学部, 助教授 (90261354)
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Keywords | 生体等価ファントム / サーモグラフィ法 / SAR / 電気定数 / 熱定数 / 放射率 / マイクロ波 / アンテナ |
Research Abstract |
本研究では、人体と無線通信機による高周波近傍電磁界との相互作用を定量的に測定できる評価システムの開発、および人体頭部リアルモデルファントム(擬似生体)の開発を行った。得られた成果を以下に示す。 1. 人体と高周波近傍電磁界との相互作用評価システムの考案 マイクロ波領域の電磁波が人体に与える作用は電磁波エネルギーの吸収によって生じる熱的作用が支配的であり、生体組織に吸収される単位質量当たりの電力(比吸収率:SAR)がその指標として用いられている。本研究では、従来の電界プローブ法では困難であった媒質境界面近傍や複雑な形状の媒質内におけるSARの正確な測定を目指し、サーモグラフィ法と生体等価固体ファントムとを組み合せた手法を考案した。そして、人体頭部規範モデル(COST244モデル)ファントムと900MHz半波長ダイポールアンテナを使用してファントム内SARを導出した結果は、有限差分時間領域法(FDTD法)に基づいて導出した数値解析結果と良く一致し、測定誤差が±5%であることを明らかにした。 2. 人体頭部リアルモデルファントムの開発とSARの測定 SAR分布は媒質の境界面の形状によって大きく異なるが、実際の人体頭部においては耳などのような突起物もあるため、人体頭部規範モデルにおけるSAR分布と比べて複雑になる。そこで、頭蓋骨および脳組織の層構造で形成された人体頭部リアルモデルファントムを作成した。そして、そのファントム内におけるSARを1で述べた評価システムを用いて導出し、FDTD法に基づく計算結果と比較した。その結果、実験結果は数値解析結果とよく一致し、特に、頭蓋骨と脳組織との境界面においてSARが最大になることを明らかにした。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 伊藤 公一: "人体と電磁波の相互影響を評価するファントムの研究開発" 映像情報メディア学会技術報告. 22・27. 39-43 (1998)
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[Publications] 伊藤 公一: "電磁波の影響評価に用いるファントムの開発" 保健物理. 33・3. 269-275 (1998)
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[Publications] Koichi Ito: "A tissue-equivalent solid phantom for estimation of interaction between human head and handset antenna" Proceedings of 1998 IEEE AP-S Conference on Antennas and Propagation for Wireless Communications. 89-92 (1998)
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[Publications] Koichi Ito: "Development and application of a biological tissue equivalent phantom for microwave region" Proceedings of 1998 Asia-Pacific Microwave Conference. 2. 889-892 (1998)
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[Publications] Yoshinobu Okano: "A study on the estimation of SAR in human head for electromagnetic energy exposure" Proceedings of 1998 Asia-Pacific Microwave Conference. 3. 1287-1290 (1998)
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[Publications] Koichi Ito: "Biological tissue-equivalent phantoms for microwaves" Proceedings of 1998 Asia-Pacific Microwave Conference Workshop. WS10. 69-88 (1998)
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[Publications] 伊藤 公一: "マイクロ波帯における生体等価ファントムの開発とその特性" 電子情報通信学会論文誌. J81-B-II・12. 1126-1135 (1998)
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[Publications] 岡野 好伸: "電磁波の影響評価に用いるファントムの開発" 電子情報通信学会論文誌. J82-B・1. 167-176 (1999)