1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトの加齢および神経疾患に伴う上肢筋の粘弾性変化の評価とその調節機構に関する研究
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10838014
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
林 良一 信州大学, 医療技術短期大学部, 教授 (40135215)
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Keywords | 加齢 / パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 筋粘弾性 / 視標追跡運動 / 可変性粘弾性装置 |
Research Abstract |
ヒトの運動機能の研究方法の一つとして視標追跡運動が用いられている.この視標追跡法をもちいた上肢の運動解析は,追跡運動中に上肢にかかる負荷量が一定である条件下でなされてきた.しかし,日常生活においては、自動車のハンドルやドアのノブのように回転させるに従って負荷が大きくなる仕事が多いことから,ヒトの運動機能を評価するためには可変的に負荷量が変化する条件下で運動がどのように制御されているかを研究することが重要である.制御理論によれば,環境との接触作業における運動制御は筋の粘弾性係数を調節することによって制御がなされていることが示唆されている.しかし,ヒトでは運動中に筋の粘弾性がどのように制御されているかについての知見はほとんどない.接触作業中の筋の粘弾性を測定する為には粘弾性の負荷量を変える必要があるが,追跡動作中に粘弾性を可変的に変えることが出来る装置は未だ開発されていない. 本研究は,現在試作している可変性粘弾性装置を改良し,運動中の筋の粘弾性を計測することができる装置を試作し,この可変性粘弾性装置装置を用いて,各年齢の健常者を対象に,連続運動中の手関節回りの筋の粘弾性を測定し,加齢と運動機能の関係を明らかにする.さらに,筋トーヌスの異常をきたすことが知られている神経疾患のうちパーキンソン病患者と小脳変性症患者を対象に同様の実験を行い各疾患の運動障害の病態を解明する.各疾患群において運動時の筋の動特性にもとづいたリハビリテーションの方法を考案し,さらにリハビリテーションの効果を同装置を用いて経時的に評価をする.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hayashi R.: "Afferent feedback in the triphasic EMG pattern of leg muscles associated with rapid body sway." Exp.Brain Res.119. 171-178 (1998)
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[Publications] Hayashi R., Tokutake T., Hanyu N.: "Power spectral analysis of auditory brainstem responses and MRI findings in patients with spinocerebellar degeneration." Electromyogr clin Neurophysiol. 38. 387-391 (1998)
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[Publications] 林 良一: "パーキンソン病と小脳失調症の歩行制御" 臨床脳波. 40. 78-83 (1998)
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[Publications] Hayashi R., Hanyu N., Tamaru F.: "Cognitive impairment in Parkinson's disease : a 6-year follow-up study." Parkinsonism Relat Disord. 4. 81-85 (1998)
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[Publications] Kohbata S., Tamura T., Hayashi R.: "Accumulation of acid-fast lipochrome bodies in glial cells of the midbrain nigral lesion in Parkinson's disease." Clin Diagn Lab Immunol. 5. 888-893 (1998)
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[Publications] 林 良一: "運動失調と平衡機能検査" 総合リハビリテーション. 26. 825-829 (1998)