2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害患者の機能的予後予測-SIASとFIMを用いての研究
Project/Area Number |
10838036
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千野 直一 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90051531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正門 由久 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10173733)
木村 彰男 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (70118941)
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Keywords | 脳卒中 / ADL / FIM / 予後予測 / 退院 |
Research Abstract |
脳卒中機能評価法(SIAS)および機能的自立度評価法(FIM)を用いて、初回発作の脳卒中患者190名の入院リハビリテーションの効果を入・退院時で検討した。 患者の内訳は、男性116名、女性74名、病名は脳梗塞110例、脳出血70例、クモ膜下出血10例で、左脳障害95名、右脳障害95名であった。年齢は14〜92歳で平均61.4歳、発症から入院までの期間は平均47.3日。 SIAS運動項目は入・退院時で0.4〜0.7の改善が各項目にみられたが、入院時には正常の運動機能の40〜60%、退院時でも正常の50〜70%と障害が残存した。FIM運動項目合計点(満点91点)は入院時59.4点、退院時78.2点と著明な改善がみられ、認知項目合計点(満点35点)も入院時28.6点、退院時31.5点と軽度の改善がみられた。また、FIM各項目の修正自立以上すなわち6点と7点の人数の全体の人数にしめる百分率のパターンは入・退院時で著変なく、すべての項目に一律に改善がみられた。 次に当科関連施設に入院した初回発作の脳卒中患者164名を特徴別に層別化し、入院までの期間、入・退院時FIM score、FIM gain、平均入院期間を比較し、1か月ごとのFIM efficiency(単位日数あたりのFIM gain)を分析した。患者の内訳は、平均年齢54.4±11.0歳、発症から入院までの平均期間114.5±71.5日、平均入院期間108.7±38.6日、入院時のFIM運動+認知項目合計点(入院時FIM score)84.0±19.6点、退院時のFIM運動+認知項目合計点(退院時FIM score)101.7±17.8点、病巣側は左脳障害73名、右脳障害91名、疾患名は脳梗塞68名、脳出血80名、クモ膜下出血16名。入・退院時FIM scoreは疾患別には差がなかったが、部位別にみると皮質の障害よりも皮質下の障害で高く、半側空間無視の合併、MMSEが21点未満である場合には低くなった。入院期間は入院時FIM scoreが低いほど、FIM gainが高いほど長かった。FIM gainは入院初期ほど高かったが、入院終期でも軽度増加していた。様々な要因で入院時FIM scoreが低値である患者では、入院期間はやや長期になるが、訓練すれば大きなFIM gainが得られることがわかった。 また、自宅退院した脳卒中患者の中で退院時FIM運動項目が70点台の患者に退院後FIMが低下する例が含まれていた。このADLレベルの患者は、やさしい項目群が自立レベル、難しい項目群が最小介助レベルであり、家人が手伝ってしまいやすいことが一因と考えられた。
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