1998 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業におけるポスト・リーン生産システムについて
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10873014
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
信夫 千佳子 甲子園大学, 経営情報学部, 助教授 (90289009)
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Keywords | 柔軟性 / 適応性 / 自律性 / 多様化 / 統合化 / 共同と支援 / ビジョンの共有化 / 生きているシステム |
Research Abstract |
第2次世界大戦以降、日本の生産システムは、トヨタ自動車が開発した「トヨタ生産システム」が自動車業界を中心に他の産業へも広まり、生産性と品質の向上に寄与した。1990年代には、海外からも「リーン(贅肉を削ぎ落とした)生産システム」と命名され評価されるに至った。しかしながら、今日の経済や社会の急激な変化によってその変革がせまられている。すなわち、バブル経済崩壊後の経済成長の停滞、若年労働者の減少と意識の変化、グローバル/ボーダレス化による企業間の取り引き関係の変容など、今日まで生産システムの前提とされて来た条件が変わりつつあるからである。このような中で、今後の日本企業における生産、システムはどのようなモデルが最適であるかついて調査・研究した。 移動通信機器メーカーの埼玉日本電気では、「セル生産システムとラインカンパニー制度の導入と成果」、抵抗器メーカーのKOAでは、「自己完結型生産システム導入による生産革新」、電子楽器メーカーのローランドでは、「都田工場のセル生産システム、かんばん方式、情報システムの導入」、トヨタ自動車九州では、「人間中心生産システムとしての自己完結型ラインと作業負担の低減」等について調査した。 バブル崩壊後の経済不況の中で、一層顧客ニーズにきめ細かく対応することが要求されるために、製品別や顧客別に従来のラインや組織を分散し、生産ラインの自律性を高めたセル生産システムや分社化の導入が見られた。導入の結果、コストダウンや1人当たりの生産性の向上に有効であったのみならず従業員のモティベーションの向上、改善活動の進展などをもたらした。また、生産と販売や開発の連携による生産性の向上、従業員にやさしい作業環境の追求による作業効率の向上、自動車産業以外でのトヨタ生産システムの導入とその進展があった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 信夫千佳子: "セル生産システムの構想について" 関西大学商学論集. 43巻5号. 73-94 (1998)
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[Publications] 信夫千佳子: "セル生産システムの適応性について-生きているシステムの視点より-" 甲子園大学紀要 経営情報学部編. No26(B). 73-94 (1999)
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[Publications] 信夫千佳子: "ローランド株式会社の生産革新-都田工場のセル生産システム・かんばん方式・情報システムの導入を中心に-" 産業能率. 3月号. 7-11 (1999)