2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10874051
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
毛利 信男 東京大学, 物性研究所, 教授 (40000848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 直 東京大学, 物性研究所, 助手 (60292760)
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Keywords | スピン・シングレット / 高圧誘起超伝導 / NaV_2O_5 / Sr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41> / スピン・ラダー系物質 |
Research Abstract |
1 これまでに得られているNaV_2O_5の誘電常数の異方性と構造との対応について解析を試みた結果から、V原子の4価と5価のイオンが34K以下の温度でa軸とc軸の両方向に電荷秩序を起こしているとの結論を示唆できた。この予想は最近のX線散乱実験の結果と対応していることが明らかにされた。特に、2万気圧以上の圧力で見出した新しい転移はごく最近の高圧下におけるX線散乱実験によって明らかにされた悪魔の階段とよばれる多層構造に起因していることも明らかとなった。今年度はこれまでに得られた成果の発表をブラジルで行われたInternational Conference on Magnetismで公表した。 2 スピン・ラダー系物質のSr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41>全組成領域における輸送現象を高圧下で解明するために、高圧誘起超伝導を示すSr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41>のx=12についてH_<c2>の結晶軸方向依存性を測定解析した。ラダー面内でラダー方向と垂直なa軸にそって20Tまで、ラダー方向のc軸に沿って7Tまで、ラダー面に垂直方向のb軸にそって7TまでH_<c2>をそれぞれ明らかにした。これらの3方向ではH_<c2>の大きさが極めて大きく異なり、この系は異方的超伝導体であること、さらにはa軸方向のH_<c2>がPauli限界を2倍も越えていることなどの特徴を明らかにした。これらの結果からSr_<14-x>Ca_xCu_<24>O_<41>系で生じる高圧誘起超伝導現象はtriplet超伝導である可能性の高いことを示唆した。この成果はブラジルで行われたInternational Conference on Magnetismで公表した。
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