1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10874075
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 裕子 (永原 裕子) 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (80172550)
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Keywords | 凝縮 / 太陽系星雲 / 核形成 / 結晶成長 / 真空実験 / クヌッセンセル / フォルステライト |
Research Abstract |
太陽系星雲における鉱物の凝縮の速度論的取り扱いのため、凝縮速度を実験的に決定することを試みた。凝縮過程は核形成と結晶成長の2つの過程からなり、核形成を実験的にコントロールすることはきわめて困難である。本研究においては結晶成長の部分のみを定量的に取り扱うことを目的とした。当初、クヌッセンセルから流出する定常的なガスからの凝縮を試みたが、凝縮領域でのガスの温度・圧力がコントロールされないことが判明した。さらに、真空容器内の温度がきわめて均質で、温度差を利用した凝縮が困難であることも判明した。そこで、物質の平衡蒸気圧差を用いた凝縮を試みた。太陽系の固体物質としてもっとも存在量が多く、また、地球型惑星のもっとも主要な構成鉱物あるフォルステライトを、SiO2とMgOを蒸発源として発生下ガスから成長させることを試みた。2重のクヌッセンセル内においたフォルステライト基盤は、表面構造が蒸発表面とは著しく異なり、逆反応の効果が大きいことが判明したが、微少な凝縮物の同定は困難であった。そこで第3番目の試みとして、クヌッセンセル内における逆反応のカイネティクスを利用して凝縮係数を求めることを試みた。クヌッセンセルのオリフィスサイズを変化させ、重量変化から逆反応の程度を見積もった。これはオリフィスサイズが容器体積に比較して小さい場合、クヌッセンセル内は平衡蒸気圧にある、という原理を利用したものである。重量変化はオリフィスサイズと直線的な関係にあり、この条件が満たされていることが判明した。この結果、平衡蒸気圧条件にあるガスからの凝縮係数が決定された。この方法を種々の鉱物の広い温度条件において適用し係数を決定することで太陽系星雲の凝縮過程を速度論的に取り扱うことが可能となり、画期的な方法である。
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[Publications] Nagahara,H.: "Mechanism of forsterite evaporation as inferred from surface microstructure"Proceedings of Japan Academy. 75. 29-34 (1999)
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[Publications] Yamada,M.: "Simulation of space weathering of planet forming materials"Earth and Planetary Science. 51. 1255-1265 (1999)
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[Publications] Ozawa,K.: "Kinetics of diffusion-controlled evaporation of Fe-Mg olivine"Geochimica et Cosmochimica Acta. 64. 173-189 (2000)
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[Publications] Nagahara,H.: "Isotopic fractionation as a probe of heating processes in the solar nebula"Chemical Geology. (in press). (2000)