1998 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生物中に存在する一重項酸素消去・生成化合物の探索と構造解析
Project/Area Number |
10876046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平田 孝 京都大学, 農学研究科, 助教授 (40273495)
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Keywords | 活性酸素 / フリーラジカル / 一重項酸素 / シングレットオキシジャン / 紅藻 / 藻類 |
Research Abstract |
ヒト体内では・OH、LO・、LOO・などのフリーラジカル、過酸化水素、スーパーオキシドなどが生成する。これらの活性酸素消去物質としては、フリーラジカル捕捉物質、SODなどの酵素等が知られ、多くの研究蓄積がある。一方、白血球の異物責食時、好酸球の刺激時、ミクロソームの脂質過酸化時などに一重項酸素が生成することが近年明らかになった。強い太陽光にさらされる海洋生物には一重項酸素に対する防御物質が存在していると考えられる。本研究の目的は海洋生物中に存在する一重項酸素やラジカル等の消去・発生活性を有する化合物を見いだし、その活性化合物の構造を明らかにするとともに、活性発現のメカニズムを明らかにすることである。 各種の紅藻、褐藻、藍藻、緑藻を収集した。藻類葉体の中位をホモゲナイズし、固形分を遠心分離で除去して、上清を透析により高分子画分と低分子画分に分離した。両画分は必要に応じ濃縮し、スクリーニング用抽出液とした。 一重項酸素のクエンチング活性は次のように評価した。すなわち、まず1,4-dimethy lnaphtaleneの過酸化物を合成した。これを穏やかに加熱し一重項酸素を発生させた。一重項酸素はα-Lipoic acidと反応して、その330nmにおける吸収を低下させた。この系を使用し、1,4-dimethy lnaphtal eneの過酸化物、α-Lipoic acid、抽出液を水系で混合し、330nmにおける吸光度の低下速度の抑制程度から活性の強さを評価した。その結果、紅藻類中の高分子画分に消去活性を認めた。今後はこの物質の特性を明らかにする。
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