1998 Fiscal Year Annual Research Report
古代犬の復原を目的とした残存遺伝子の増幅法の開発と系統解析
Project/Area Number |
10876055
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
石黒 直隆 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (00109521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 章 奈良国立文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 主任研究官 (20157225)
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Keywords | DNA / ミトコンドリア / 考古学 / PCR / ハプロタイプ |
Research Abstract |
本研究の目的は、遺跡より出土する古代犬に残存する微量遺伝子を効率よく増幅して、古代犬を遺伝子面で復原し、現生犬から構築したデーターベースと比較検討することにより日本在来犬の起源と成立過程を探究することである。平成10年度は以下の成績を得た。 1) 残存遺伝子の増幅法の開発:PCR法にて残存遺伝子を増幅する試料の調製法について詳細に検討した。その結果、古代犬由来の骨粉中に残存するPCRインヒビターをできるだけ押さえる目的で、0.5%EDTAによる骨粉の脱灰とフェノールとクロロホルム処理後のセントリコン30による濃縮法が、残存遺伝子のPCR法の増幅において最も有効であった。 2) 古代犬からの残存遺伝子の増幅:上記増幅法を用いて縄文、弥生、鎌倉時代やオホーツク文化期の遺跡から出土した古代犬の骨から残存遺伝子(ミトコンドリア・Dループ領域198bp)の分離と増幅を試みた。その結果、時代が新しいオホーツク文化期由来の犬骨35サンプルの内29サンプル(82%)から効率に古DNAを増幅した。増幅した古DNAの中でも現生犬のハプロタイプM5型に属するものが最も多く検出せれオホーツク文化期の古代犬は遺伝的に均一な集団であることが明らかとなった。この成果を1998年8月にカナダ・ビクトリア大学で開催された8th International Congress of the International council for ArChaeozoology(ICAZ'98)で発表し、カナダの古代犬と比較した。その結果オホーツク文化期の古代犬は、カナダの古代犬とは遺伝的に異なっていることが明らかとなった。来年度は、縄文、弥生時代から出土した古代犬について解析する予定である。
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