1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10877152
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
太田 深雪 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10233149)
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Keywords | アルコール / ドーパミン / モノアミン酸化酵素 / サルソリノール / N-メチル-サルソリノール / テトラヒドロイソキノリン / ノルアドレナリン / セロトニン |
Research Abstract |
アルコールとドーパミンの縮合反応により生成するサルソリノールや、脳内においてN-メチル化により生成するN-メチル-サルソリノールを始めとする代謝産物、およびサルソリノールの関連物質であるテトラヒドロイソキノリン類のモノアミン酸化酵素(MAO-A並びにMAO-B)に対する作用を検討し、構造活性連関について考察した。 一連の実験の基本物質である(R)-及び(S)-サルソリノールはMAO-Aを選択的に拮抗阻害し、K_1値はそれぞれ61.9μM、112μMであった。カテコール環を持つイソキノリン類とカテコール環を持たないものの2群に分けて、構造活性相関を検討した所、次のことが判明した。 #1. カテコール環を持つイソキノリン類について (1) MAO-Aを選択的に阻害し、MAO-Bは阻害されなかった。阻害の型は基質に対する拮抗阻害であった。 (2) (R)型異性体の方が(S)型に比し、阻害が強かった。 (3) N-メチル化により阻害が強くなった。酸化はその阻害をさらに強くした。 (4) C1の位置にメチル基又はエチル基群が存在するとより阻害が大きくなる。 (5) C1の位置にカルボキシル基が存在するとメチル基群によってもたらされた阻害が打ち消される。 #2. カテコール環を持たないイソキノリン類について (1)MAO-AとMAO-Bの両方の型を阻害した。 (2) C1の位置にフェニル環が加わるとMAO-AとMAO-Bの両方について阻害が小さくなる。 ノルアドレナリンとセロトニンはMAO-Aの基質であるので、サルソリノールやその関連物質が選択的にMAO-Aを阻害するという事象より、これらの物質がノルアドレナリン系やセロトニン系神経に影響を与え得ると考えられ、このことがアルコールのもたらす精神障害と関係してくる可能性が示唆された。最近(R)サルソリノールはヒトの脳内で酵素を用いて生成され、(S)-サルソリノールは食物由来であることが判明した。(R)型、(S)型の異性体に分けてのin vivoの研究がアルコール使用による行動および精神の障害の解明に役立つものと思われる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Miyuki Ota et al.: "Risperidone,an atypical antipsychotic,affects the mRNA expressions of monoamine oxidase type B and vesicular monoamine transporter-2 in rat brain" Biogenic Amines. (in press). (1999)