1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10877237
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山下 衛 筑波大学, 臨床医学系, 助教授 (40110506)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 雅知 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (50158169)
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Keywords | ボタン型リチウム電池 / ボタン型アルカリ電池 / 腐食 / 食道壊死 |
Research Abstract |
ボタン型リチウム電池の販売量は年々増加し、現在ボタン型電池の70%である。それに伴ってボタン型リチウム電池の誤飲事故も増加し、重症例もでている。この発生機序が解明されれば治療法の開発やボタン型リチウム電池の改良が行われると考えられる。 全身麻酔下のビーグル犬の食道に、ボタン型リチウム電池を留置し、15分、30分、1時間、2時間、3時問後に食道気管を取り出し、病理所見と留置時間の関係について検討した。15分後の食道はinnermuscle layer迄壊死になっていた。30分後の食道では、outer muscle layer迄壊死になっていた。1時間以上留置した食道では壊死は、気管に迄達しており、留置時間が長くなるにつれて壊死の範囲は広くなっていた。消費電気量は、15分留置で15mAH、30分で22mAH、1時間で33mAH、2時間で55mAH、3時間で80mAHであった。又、留置時間が1時間以内の電池では、電池内容のもれはなかった。 ボタン型アルカリ電池では、組織を電流が流れることにより、組織にアルカリが生成され、組織が壊死になると考えられている。ボタン型リチウム電池でも食道に留置することにより食道に壊死が発生し、電池の内容物がもれていなかったことから、ボタン型アルカリ電池の場合と同様な機序により組織の壊死が生じたものと考えられる。しかし、1.5Vのボタン型アルカリ電池では、outer muscle layer迄壊死が到達するためには8時間必要であると言われている。1.5Vのボタン型アルカリ電池に比し、3.0Vのボタン型リチウム電池では、30分で壊死がouter muscle layer迄到達していた。このことは、ボタン型リチウム電池を飲んで食道等に固定してしまった場合には、ボタン型アルカリ電池と異なり、早急に取り出す必要があると考えられる。
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Research Products
(1 results)