1998 Fiscal Year Annual Research Report
全身麻酔における脳グリア細胞からの伝達物質開口放出の役割
Project/Area Number |
10877244
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
丸山 宏 北里大学, 医学部, 助手 (50265625)
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Keywords | 全身麻酔 / 培養グリア細胞 / 開口放出 / pentobarbital sodium / ビデオ増感顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は、ビデオ増感顕微鏡(生きた細胞の微小構造の動的変化を画像処理することにより超高倍率でリアルタイム観察を可能とする方法)を用いて、脳グリア細胞からの伝達物質開口放出を観察し、全身麻酔におけるグリア細胞開口放出の役割を明らかすることを目的とした。2-5日齢のラット脳視床下部を摘出し、蛋白分解酵素で神経細胞およびグリア細胞を単離し、カバーガラス上で培養した。ビデオ増感顕微鏡を用いて、10,000-20,000倍の高倍率でグリア細胞を生きたまま観察した。37℃条件下でグリア細胞表面から小胞の開口放出が観察された。高カリウム液を投与し細胞を脱分極させると開口放出の頻度が増加した。興奮性アミノ酸であるグルタミン酸やそのアゴニストであるNMDAを投与しても開口放出頻度が増加した。一方、全身麻酔薬であるpentobarbital sodiumを投与したところ、開口放出頻度は低下した。pentobarbital sodiumの細胞標的部位とホモロジーであるGABA_A受容体の選択的アゴニストmuscimolも同様に開口放出を抑制した。これらの結果から、pentobarbital sodiumは少なくとも、視床下部のグリア細胞からの化学物質放出を抑制して周囲の神経細胞の興奮性の調節をしていることが示唆された。また、その作用はGABA_A受容体を介することが示唆された。今後、他の脳部位でも同様の実験を施行し全身麻酔薬の作用部位を確定すること、及び、開口放出物質を同定することを主眼として研究を続行する予定である。
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