1998 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックス機構の発現からみた神経芽腫群腫瘍の予後
Project/Area Number |
10877280
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
久我 貴之 山口大学, 医学部, 助手 (00263781)
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Keywords | 神経芽腫 / 細胞外マトリックス / コラーゲン / ファイブロネクチン / ラミニン / 予後因子 |
Research Abstract |
山口大学医学部附属病院で手術を施行した神経芽腫群腫瘍患者およびその家族に本研究を十分に説明し、その同意を得た2症例に対して本研究を行った。1例は左副腎原発の神経芽腫(stage 4S)、他の1例は縦隔原発の神経節腫(Stage 3)であった。前者は既知の予後因子では予後良好群に属し、後者は病理組織学的に良性腫瘍の範躊に属する症例であった。 1) 腫瘍組織中の細胞外マトリックス蛋白の発現 腫瘍組織を採取し、ホモジネート上清中よりペプシンー酢酸法、NaCl法およびCHAPS法でコラーゲン・ファイブロネクチン、ラミニン、およびコンドロイチン硫酸プロテオグリカン蛋白を抽出した。ラミニンおよびコンドロイチン硫酸プロテオグリカンに関しては電気泳動を行うに十分量の蛋白を抽出できなかった。各試料を用いて、電気泳動(SDS-PAGE)を行った。2例とも泳動ゲルにおいて、タイプI型コラーゲン、タイプIII型コラーゲン、タイプV型コラーゲンおよびファイブロネクチンの各バンドを認めた。明らかな異常バンドの出現は認められなかった。以前の研究でわれわれが認めていたタイプI型コラーゲンα2鎖欠失は本2症例では認められなかった。 2) 各バンドのアミノ酸残基配列の分析 今回の2症例で認められたタイプI型コラーゲンα2鎖バンドのアミノ酸配列に関して、シークエンスを試みたところ、正常パターンであった。今後、今回認められたタイプ型コラーゲンα2鎖の分解に関わる蛋白分解酵素(matrix metalloproteinase-2,9)の発現をさらに検討する予定である。
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