1998 Fiscal Year Annual Research Report
伝染病隔離入院患者における精神心理的問題点とそのケア
Project/Area Number |
10877414
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
三橋 睦子 久留米大学, 医学部, 講師 (50289500)
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Keywords | 隔離 / 集団 / 伝染病 / 心的障害 / ケア |
Research Abstract |
1997年当久留米大学で経験したY市の集団赤痢症例の10年後の、精神・心理的影響について調査した。調査対象は137名(内1名死亡)の57家族で、回答者は65名の28家族であった。某保育園よりの発生で園児中心の症例であったため、それまで個室隔離としていた収容方法を家族単位に変更した。そのため、今回の調査結果では、PTSDと思われる症例は認めなかった。1名のみ被害意識とも思われる記憶を鮮明に表出する成人の症例を認めた。また、幼児らの退行現象は退院後ほとんど見られず、成人に比べて睡眠障害などの影響も少なかった。これに比べ、成人のパニック状態や睡眠障害、退院後の現在の影響などを考慮すると、症例の発達段階に応じた収容方法の検討が必要であるといえ、現在、その具体的方法について検討している。 次に、1998年5月長崎市の某大学および付属高校の学生、教職員らに発生した集団赤痢症例に対し、GHQ30を用いて精神・心理的影響を調査した。対象は全学生および教職員のうち回答のあった1331名で、入院期間が短かったこと、対象が青年期の学生であったことなどから、障害の程度は全体的に低く、また、パニック現象などもとくに見られなかった。そこで、現在10年前の症例と、入院期間、発生から終結宣言までの期間、発生対象の生活圏、収容施設件数と収容施設圏、および、行動の隔離範囲、生活の隔離範囲、情報の隔離範囲、人的・物的隔離範囲、対象の発達段階などについて比較し、時代に応じたよりより収容方法についても続けて検討している。
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