1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10CE2003
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
白井 汪芳 信州大学, 繊維学部, 教授 (80021153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶原 莞爾 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 教授 (10133133)
東原 秀和 信州大学, 繊維学部, 教授 (40026141)
白井 汪芳 信州大学, 繊維学部, 教授 (80021153)
清水 義雄 信州大学, 繊維学部, 教授 (20150675)
鳥海 浩一郎 信州大学, 繊維学部, 教授 (40016374)
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Keywords | 人工生体機能繊維 / 極限繊維生産システム / 超繊維材料 / 繊維材料の空間次元制御 / 感性・インテリジェント繊維 / 新複合繊維 / 新生物繊維 / 先進繊維技術科学 |
Research Abstract |
第一班の新しい繊維の概念、ナノファイバーの創出と展開研究では、オイルゲル化剤を用いた有機ナノファイバー多孔質ポリマーを創出した。また、分子集合体を鋳型にした中空酸化チタンを開発した。内径90-350nmのチューブ状酸化チタンで、光触媒、太陽電池などに応用が期待される。無機ファイバーでは、ゾルーゲル法による酸化物系ファイバー/チューブで中心に数百nmのマクロ孔、孔径2nm、間隔約4nmのメソ孔が存在していることを明らかにした。有機-無機ハイブリッド繊維では、カーボンナノチューブファイバーにおいて、鋳型炭素化法多層カーボンナノチューブが高クーロン効率・高エネルギー密度なリチウム二次電池の電極としての電気化学特性を持つことを明らかにし、プロジェクト研究へ発展させる見通しを得た。その他光応答性デンドリマー、新規炭素繊維などの研究も行った。 繊維の高次構造制御による繊維物性の向上技術を確立する第二班では、小角X線散乱法を含む電磁波散乱の手法により、ナノスケールの構造を広角X線回折やNMRによりサブナノスケール構造の解析を可能にするため、今年度は、動的ナノ構造解析システムの作製に取り組み、ほぼ完成に近づいた。また、電気抵抗変化プロフィールにより、溶融紡糸時の液状糸切断メカニズムを定量的に評価する手法を得た。さらに、ポリエチレンの膨潤-延伸法により最大引っ張り強度および弾性率として、それぞれ、3.3Gpa、140Gpaを得た。無機繊維開発においては、多糖類をバインダーとして、焼成し透光性の高いアルミナ、チタニア、ジルコニア等の酸化物系のセラミック繊維を開発した。 繊維集合体の研究を行う第三班では、新しいハイブリッドスパンヤーンを創出するための試験機が完成した。また、繊維集合体の総合評価システム開発においては、織物の地合評価システム装置の試作を行った。その他、新規試作ガード糸を用いたパンティーストッキングの透明感を測定、評価できるシステムの開発、ラケット等スポーツ用新規ストリングの試作、人が様々な材質を判断しているときの押し圧力、摩擦力、指の移動速度を同時に測定できる触運動量測定装置の試作、水分放出特性の傾斜機能を持つ不織布の開発等を行った。 感性インテリジェント繊維研究を行っている第四班では、快適なヒューマンシートの座り心地を表皮素材の物理量から予測することが可能であることを明らかにし
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た。また、衣服のデータベースのデータ構造を決定し、これらを用いてユーザーが入力した感性評価値に適合した商品を提示するシステムを試作した。さらに、動的人体モデル、三次元衣服モデルデータベースおよび着装シミュレーション機能を持つ三次元CADシステムを構築した。その他、人体構造・機能と繊維製品との相互作用、衣服と人間の体温調節行動、心身反応による着心地評価システム、個人対応衣服設計のための採寸システム開発も行っている。 超繊維機能の創出を目指す第五班では、レーザー色素をドープしたポリエチレン繊維を試作し、レーザー光励起による発光ピークが確認されファイバー状光共振器の可能性を示唆した。メロシアニン系色素の物理化学的性質を明らかにし、エネルギー移動効率の算出法を確立した。高イオン・電子伝導高分子材料開発においては、部分リン酸化ポリビニルアルコールを支台としたオリゴエチレングリコール複合体により高い導電率(>10^<-1>〜10^<-3>S/cm)のプロトンおよびイオン伝導体を得た。その他、金属酸化物を強固に担持した炭素繊維触媒電極、光ファイバーを用いた酸素センサ、超伝導体の繊維化の研究においても基礎的成果が得られた。 人工生体機能繊維・高次機能加工分野の第六班では、金属フタロシアニン系を担持した綿繊維による消痒・消炎効果が確立され、臨床試験に入った。自律応答機能をもつ非イオン状ゲルを合成し、屈曲速度10ミリ秒、熱損失1/10、変形量100%の人工筋肉系が達成された。また、コンピュータシミュレーションによる人工アクチュエータの試作と推進実験を行った。さらに、環境浄化繊維の開発では、Zn-フタロシアニン錯体ポリマーを用いたC-Cl結合の光分解、重金属を捕捉するキレート繊維を創出した。さらに、新しいボラ型電解質の合成を行い、末端基部分の水素結合能が助剤性能に重要なことを明らかにした。その他、無機層状化合物による表面機能化、多目的天然ポリイオンコンプレックス(PIC)繊維の創出など多くの基礎的成果を得た。 第七班バイオ繊維研究では、フィブロインとセルロースの分子複合繊維が創出され、糸の強度・伸度・ヤング率等の測定、ブレンド比の最適化が明らかになった。蜘蛛の糸を蚕に吐かせる研究では、DNA塩基配列からトランスベクターを作成し、バキュロウィルス・ゲノムに移したコンビナトウィルスを作成した。硫酸化ヒアルロン酸を合成し、ヒト表皮角化細胞などに及ぼす影響を調べ、接着タンパク、フィブロネクチンを選択的に吸着分離できることを見出した。その他、バイオファイバー、バイオマテリアルの創出、新実験昆虫エビカラススメの作る繊維状物質、絹タンパク質合成の分子機構等において基礎研究が進んだ。 極限繊維生産システムを研究する第八班では、蚕の吐糸行動に学ぶ、フレキシブル構造体の研究において、交代確率過程モデルを提案した。合成繊維の巻き取りおよトラベースガイドの運動により生ずる波動の伝播速度を計測し、糸張力を非接触で測定する理論を構築し、その有効性を証明し、非接触張力計測による合繊紡糸のオンライン化品質制御の可能性を明らかにした。その他、マン・マシンビジョンに基づく布外観見評価システムの開発、OA等を用いた型どり自動最適化手法の確立の研究において基礎研究の成果を得た。 Less
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Research Products
(13 results)
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[Publications] S.Kobayashi,K.Hanabusa,M.Susuki,M.Kimura,and H.Shirai: "Preparation of TiO_2 Fiber in a Sol-Gel System Containing Organogelator"Chemistry Letters. 1077-1078 (1999)
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[Publications] S.Kawasaki,C.Kikuchi,F.Okino,and H.Touhara: "Syntheses of GeO_2-SiO_2 glasses by the sol-gel method using GeO_2 aqueous solution"Journal of Material Science Letters. 19. 11-14 (2000)
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[Publications] M.Dentini,P.Desideri,V.Crescenzi,Y.Yuguchi,H.Urakawa,and K.Kajiwara: "Solution and gelling properties of gellan benzyl esters"Macromolecules. 32. 7109-7115 (1999)
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[Publications] J.H-Y.Liu,D.A.Brant,S.Kitamura,K.Kajiwara,and M.Mimura: "Equilibrium spatial distribution of aqueous Pullulan : Small-angle X-ray scattering and realistic computer modeling"Macromolecules. 32. 8611-8620 (1999)
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[Publications] A.Sakaguchi,H.Kim,Y.Matsumoto,and K.Toriumi: "Woven Fabric Quality Evaluation Using Image Analysis (Part 1: Reed Mark Appearance)"Textile Research Journal. (投稿中).
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[Publications] T.Nishimatsu,H.Hayakawa,Y.Shimizu,M.Kamijoh,and E.Toba: "Influence of Top Coated Cloth for Sitting Comfort of Automotive Seat"Kansei Engineering International. Vol.1,No.1. 17-24 (1999)
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[Publications] M.Suzuki,T.Yoshida,S.Kobayashi,T.Koyama,M.Kimura,K.Hanabusa,and H.Shirai: "Proton conduction in new polymer hydrogel films consisting of crosslinking partially phosphorylated poly (vinyl alcohol)s"Physical Chemistry Chemical Physics. 1. 2749-2758 (1999)
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[Publications] M.Kimura,T.Shiba,T.Muto,K.Hanabusa,and H,Shirai: "Intramolecular Energy Transfer in 1,3,5,-Phenylene-based Dendritic Porphyrins"Macromolecules. 32. 8237-8239 (1999)
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[Publications] M.Suzuki,Y.Ohta,H.Nagae,T.Ichinohe,M.Kimura,K.Hanabusa,H.Shirai and D.Wohrle: "Synthesis, Characterization and Application of A Novel Polymer Solid Photosensitizer"Chemical Communications. 213-214 (2000)
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[Publications] M.H.Islam,M.Watanabe,H.Morikawa,and T.Hirai: "Drag Reduction on Polymer Gel Surfaces"JSME International Journal, Series C. 42(3). 634-639 (1999)
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[Publications] A.Teramoto,Y.Takagi,A.Hachimori,and K.Abe: "Interaction of Albumin with Polysaccharides Containing Ionic Groups,"Polymers for Advanced Technologies. 10. 681 (1999)
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[Publications] T.Uchiumi,K.Hori,T.Nomura,and A.Hachimori: "Replacement of L7/L12.L10 Protein Complex in Escherichia coli Ribosomes with the Eularyotic Counterpart Changes the Specificity of Elongation Factor Binding"Journal of Biological Chemistry. 274. 27578-27582 (1999)
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[Publications] 岩出卓,今江正澄,新谷友季子,中沢賢: "非接触張力測定による合成繊維製造工程の品質管理技術(第1報)トラバースガイドによる糸の運動解析と非接触張力測定法の原理"繊維学会誌(論文集). 52. T206-216 (1999)