Research Abstract |
変換群論およびホモトピー論における大きな問題として,Halperin-Carlsson予想と呼ばれるものがある.これは,n次元トーラスT^nがalmost freeに作用する空間のベッチ数の和は,T^nのベッチ数よりも大きいか等しいであろうというものである.これまでのところ,部分的な肯定的解決は得られているが,反例は見つかっていない.また,このmod 2版も盛んに研究されている.本研究では,mod 2版のHalperin-Carlsson予想に対する部分的肯定的解決を与えた. トーリックトポロジーで盛んに研究されている対象に,実ボット多様体がある.これは,n-cube上のsmall coverとも言える.つまり,n-次元実ボット多様体は,2^n個のn-cubeを用意し,それらの面を適当に同一視することによって得られる.しかし,実際には2^n 個n-cubeを用意する必要はなく,1個のn-cubeにおいて,その2n個の面を互いに同一視して得られることが分かる.実ボット多様体の場合,この同一視が特殊なものである.本研究では,この同一視を一般化し,どのような多様体が得られるかを考察した.特に,一般化された実ボット多様体と呼ばれるものが既に存在するが,それらもn-cubeの面の同一視で得られることを示し,実ボット多様体と一般化された実ボット多様体を包括する見方を与えた.微分幾何学的には,実ボット多様体は平坦リーマン多様体であるが,一般化された実ボット多様体には,正の曲率をもつもが多く存在する.それらが,統一的に見られると言うのは意外な発見であった.
|