2010 Fiscal Year Annual Research Report
光照射によるPy-Imポリアミド-CBIコンジュゲート体の選択的な活性化
Project/Area Number |
10F00043
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 弘 京都大学, 理学研究科, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
PARK Soyoung 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | DNA / Py-Imポリアミド / アルキル化 / 光反応 |
Research Abstract |
今回、私は癌細胞のDNAのみをターゲットとするDNAアルキル化剤として、特定塩基配列を認識するPy-Imポリアミドと、特定の条件で働くアルキル化剤をコンジュゲートするというコンセプトを考えた。Py-ImポリアミドがDNAの特定塩基配列を認識するのに加え、アルキル化剤が特定の条件でのみ作用するため、より高度な選択性を有するDNAアルキル化剤となると考えられる。Py-Imポリアミド-CBIコンジュゲートがDNAの特定塩基配列に対してアルキル化反応することはこれまで杉山研究室においてよく研究されている。しかし、Py-Imポリアミド-CBIコンジュゲートはDNAアルキル化剤として強い毒性を持つ反応剤であるが、効率的な抗がん剤にするためには癌細胞のみで作用するようにその毒性を制御することが必要である。そこで私はCBIユニットの毒性をマスクした後、特定の化学反応によって癌細胞のみでスイッチ-オンにすることができるPy-Imポリアミド-CBIコンジュゲートの開発を考え、「光反応によるPy-Imポリアミド-CBIコンジュゲートの選択的な活性化」に成功した。本研究は究極的には生体内への応用を目指しており、CBIユニットの保護基を外すために与えるエネルギーとして熱の使用は適さないことから、光反応を用いるアプローチが有効であると考えた。具体的な戦略としては、CBIユニットのヒドロキシ基に光反応により外れるニトロベンジル誘導体を保護基として導入した化合物を合成し、配列特異的なPy-Imポリアミドとのコンジュゲートを合成した。得られたPy-Imポリアミド-アルキル化剤コンジュゲートは365nmの光を照射した時のみ特定塩基配列に対してアルキル化反応を起こすことが確認できた。さらに、365nmの光を照射した時のみヒト培養がん細胞に対する毒性を示すことから抗がん剤としての可能性が示された。また、この研究は自在にスイッチ-オンが可能な配列特異的アルキル化Py-Imポリアミドコンジュゲート開発の最初の例として興味深いテーマであり、この分子を基にして将来的にはPy-Imポリアミドを基盤にする新しいタイプの抗がん剤の開発が期待されている。
|