2011 Fiscal Year Annual Research Report
プライバシを考慮したIDベース暗号方式とトラスト管理システムへの応用
Project/Area Number |
10F00045
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高木 剛 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG M 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 外国人特別研究員
|
Keywords | 暗号・認証 / 公開鍵暗号 / ペアリング暗号 / 高速実装 / 暗号プロトコル |
Research Abstract |
本課題では、プライバシを考慮したIDベース暗号方式とトラスト管理システムへの応用に関する研究を進めている。署名付き暗号化(Signcryption)は認証と秘匿を同時に処理することができるため、暗号化に署名を付ける方式と比較して、計算量や通信量が削減可能となる。本年度は、マルチユーザーの利用環境で、閾値分散の復号化を有するグループ化可能なマルチ署名付き暗号化方式を提案した。また、検証者指定署名方式を考察して、2種類の異なる経路で署名を送信した場合でもメッセージを復元できる耐故障性をもつ方式を提案した。これにより、送信者のIDとメッセージの両方のプライバシを保つ認証方式が作成可能となる。更に、Zhang-Maoによって提案されたランラムオラクルモデルを利用しない署名長が短い署名方式の安全性を考察し、選択平文攻撃により署名が偽造できる例を示した。Zhang-Mao方式を、双線形性ペアリングを利用することにより改良し、ランダムオラクルモデルにおいて選択平文攻撃に対して存在的偽造が不可能となる安全な方式を提案した。最後に、Wu等によって提案された秘密情報配送方式に対する攻撃を考慮し、暗号文が復号化検証可能となる脆弱性を指摘した。また、Wu等の方式を改良することにより、IND-CCA安全性を満たす秘密鍵配送方式を構成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、プライバシを考慮したIDベース暗号方式に関して査読付き論文4編と学会発表2件を行った。特に、グループ化可能なマルチ署名付き暗号化方式や2種類の異なる経路で署名を送信した場合でもメッセージを復元できる耐故障性を有する検証者指定署名方式など提案した。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の課題として、双線形性ペアリングを用いた高機能な暗号プロトコルの研究を行う予定である。特に、プライバシを考慮したIDベース暗号方式(Privacy-carrying ID-based Cryptography)を考察し、送受信者の匿名性を有する暗号キーワード検索方式やアクリゲート署名方式を研究する。これらの方式を拡張する形で、データ秘匿性、ID情報の匿名性などを考慮した新しいトラスト管理モデルを提案する予定である。
|