2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00055
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷垣 勝己 東北大学, 原子分子材料科学高等研究機構, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
THANGAVEL Kanagasekaran 東北大学, 大学院・理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ナノ空間物質 / 電子デバイス / 有機半導体 / 電界効果トランジスタ / 両極性伝導 / 発光 |
Research Abstract |
電子デバイス応用に向けたナノ物質の利用が盛んになっているが、分子1個でもデバイスに応用可能な電子的特徴を発現する有機半導体が注目されている。特に有機半導体は、電子(n型)または正孔(p型)の単極性伝導が明瞭である無機半導体と異なり、一つの結晶中に電子と正孔を同時に注入できるという両極性の性質があり、これら2種のキャリアは有機半導体中で再結合し発光する。この現象は、両極性注入・伝導という物理的に興味深い側面と、発光ダイオードのようなpn接合を必要としない新しい発光デバイスとして期待される側面をもち、基礎、応用の両面で魅力的な研究課題となっている。当該年度は、この有機半導体の発光強度を増大させることを目標に、発光する有機半導体としては2,5-bis(4-biphenylyl)bithiophene(BP2T)を用い、単結晶ならびに薄膜の作製とデバイス化を行った。単結晶は物理気相輸送法を用いて、また薄膜は分子線蒸着法によって作製した。これらの有機半導体単結晶ならびに薄膜に、電子注入電極としてカルシウムを、また正孔注入電極として金を真空蒸着して電界効果トランジスタ素子を作製、そのまま大気に曝すことなく低酸素・低水分雰囲気のグローブボックス中で電気伝導測定、発光観測を行った。正孔に比べて、電子は基板と半導体の界面でトラップされやすく、電子をトラップしない材料で基板表面を修飾する必要があり、当該年度は主に表面修飾材料と修飾条件の最適化を行った。この最適化によって、同じ有機半導体を使用した場合でも発光強度が1桁以上向上し、本研究における最も重要な要素の一つであることがわかった。更なる最適化が可能であると考えられ、現在もその探索を継続している。
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