2010 Fiscal Year Annual Research Report
鉱物資源の生産効率を高めるための不純物除去技術の開発と鉱業廃棄物からの金属回収
Project/Area Number |
10F00084
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
柴山 敦 秋田大学, 工学資源学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WILLIAM Tongamp 秋田大学, 工学資源学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 資源処理 / 不純物含有鉱石 / 低品位鉱石 / 選鉱尾鉱 / 金属回収 / 浮遊選鉱法 |
Research Abstract |
本研究課題では、(1)銅鉱石中の不純物除去技術の開発、(2)鉱業廃棄物(選鉱尾鉱)からの金属回収、の2テーマを具体的な研究項目とし、以下の研究成果を得た。 (1)銅鉱石中の不純物除去技術の開発では、銅鉱石中のヒ素鉱物の分離と選択的な除去を目的に、浮遊選鉱法(浮選)による分離条件の解明とアルカリ浸出によるヒ素除去プロセスの検討を行った。その結果、ヒ素を1~2%含む銅鉱石をはじめ硫砒銅鉱(Enargite, Cu_3AsS_4)などの高ヒ素含有鉱石に対し、NaOHやNaHSの薬剤濃度および温度調節を行うことで、ヒ素を95%以上浸出除去する効果的な分離条件を明らかにした。また、浸出液に固体硫黄を加え、薬剤添加と温度制御により、明瞭な結晶性をもつチオヒ酸塩(Na_3AsS_4)の析出を確認した。これにより溶解したヒ素の固体回収法(固定化法)の可能性を示唆することができた。一方、浮選による分離プロセスでは、鉱物粒子表面と浮選剤の相互作用を検証し、浮遊性の差によるヒ素含有鉱石の基礎的な分離特性を明らかにした。 (2)鉱業廃棄物(選鉱尾鉱)からの金属回収では、銅-モリブデン鉱山で廃棄された選鉱尾鉱(鉱業廃棄物)からの銅・モリブデンの回収を目的に、浮選薬剤の高度利用および回収プロセスの検討を行った。具体的には、界面活性剤とケロシンを加えた混合浮選剤を使用することで、鉱物粒子表面の疎水性を促進し、浮上分離性を改善したほか、タンニン酸を主とする抑制剤を用いることで、初期品位0.38%と0.23%であった銅、モリブデンが、それぞれ1.50%、2.40%まで上昇するなど高品位化を達成した。また、このときの回収率も銅が28.60%,モリブデンは61.60%に達するなど良好な分離成績を収めることができた。以上のことから、浮遊選鉱法の高度利用により、選鉱尾鉱の再資源化の可能性を示唆する研究成果が得られた。
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Research Products
(2 results)