2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトT細胞白血病ウイルス1型による発がん機構の解明と標的治療法開発
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10F00126
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 雅雄 京都大学, ウイルス研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO Tiejun 京都大学, ウイルス研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | HTLV-1 / ATL / TGF |
Research Abstract |
1)ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)ではマイナス鎖にコードされるHTLV-1 bZIP factor(HBZ)遺伝子は全てのATL症例で発現しており、その増殖だけでなく細胞分化、機能にも大きな影響を与えている。サルT細胞白血病ウイルス1型(STLV-1)はHTLV-1と近縁のレトロウイルスであり、STLV-1がヒトに伝播してHTLV-1になったと推測されている。ニホンザルに感染しているSTLV-1のHBZに相当する部分に同様の塩基配列を見出し、STLV-1 bZIP factor(SBZ)として同定した。SBZはHBZと同様に古典的NF-κB経路抑制、TGF-β/Smad経路活性化、AP-1経路抑制作用を有していた。またTaxに関してもSTLV-1のTax(sTax)はNF-κB活性化、TGF-β/Smad抑制作用を示しており、HTLV-1と非常によく似た活性を有することが明らかとなった。このことからSTLV-1はHTLV-1の良いモデルとなりうることが示された。 2)HBZがCEBP/αに結合することを見出した。HBZはCEBP/αの転写活性を抑制しており、機能に影響を与えていることが示された。CEBP/αはリンパ球のセネッセンスに関連しており・・・がCEBP/αの機能を抑制して細胞老化を解除している可能性が示唆された。この結果は・・・の新たな機能を明らかにしたものである。 3)HBZと結合すると予想されるペプチドを合成してin vitroでHBZの機能を抑制できるかを検討したが、抑制効果は確認できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度は、HBZの新たな機能を明らかにできただけでなくSTLV-1の解析も大きく進んだ。この研究によりHTLV-1病態解明が大きく前進した。
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Strategy for Future Research Activity |
趙氏は中国で新たな研究室を立ち上げ、独立した研究者としてスタートするが、我々の研究室と共同研究を継続する予定である。
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Research Products
(3 results)