2010 Fiscal Year Annual Research Report
「重訳」と東アジアの「近代」:1890-1910における日中翻訳空間
Project/Area Number |
10F00307
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
齋藤 希史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
呉 燕 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 外国人特別研究員
|
Keywords | 中国近代文学 / 白話文文体 / 国語意識 / 呉檮 |
Research Abstract |
11月の研究開始以来、研究の基盤整備のための機材を整備し、資料の収集と整理を行った。日本近代文学史と文体発展に関する資料収集に着手する一方、東日本大震災の影響で研究分担者が中国に避難したこともあって中国側の資料収集も積極的に行い、中国現代の白話文文体の発展を把握することに努めた。それによって、欧文法から受けた影響と、国語運動にもたされた「国語」意識の生成に伴う「古典」価値の再発見という二つの流れに挟まれた隙間に、白話文の「近代」が形作られたという構図が明らかになった。日本語からの「重訳」が白話文の「近代」とどのようにかかわるのか、この構図から再検討したい。また、一つの事例として、清末翻訳家呉檮とその翻訳実践に焦点をあて、彼の作品とその日本語底本との照合、それぞれのテクストの置かれた文脈に対する検討作業も行った。その成果の一つとして、「『燈台卒』をめぐって」が『清末小説』(清末小説研究会)に掲載された。
|
Research Products
(3 results)