2011 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナムにおける廃棄物マネジメント・3R推進事業に係る政策効果分析
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10F00313
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松井 康弘 岡山大学, 廃棄物マネジメント研究センター, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN T.P. 岡山大学, 廃棄物マネジメント研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | 廃棄物 / ごみ組成 / GIS(地理情報システム) / GPS(全地球測位システム) / 収集・運搬 / 費用対効果 / 政策効果 / 3R |
Research Abstract |
本研究は、ベトナムにおける廃棄物マネジメント・3R推進事業に係る技術・政策の費用・環境負荷を定量的に評価するための基礎情報を収集するとともに、各種技術・政策シナリオの費用対効果等を定量的に評価することを通じ、同国における循環型社会形成に資する情報基盤・評価手法を整備・確立することを目的とする。 本年度の研究項目は以下の通りである。 (1)一般廃棄物の発生・排出に係る実態調査及び推定モデル構築 本研究では、ベトナム中部のフエ市を対象とした。平成22年度は家庭系一般廃棄物の発生・排出フローについて、ごみ計量調査・アンケート調査等を実施して排出実態を把握した。本年度は、事業系一般廃棄物に焦点を当て、同様に発生・排出フローに関する実態調査を実施した。対象は経済部門毎に対象事業者を選定することとし、計29区分・446事業所を対象とした。調査は2011年9月~11月の雨期の期間において、調査対象に対して、廃棄物の発生量調査、組成調査(物理組成、54種類の細組成)、アンケート調査(事業規模等俊ごみ発生量の影響要因、リサイクルの現状等)の3種類の調査を同時に実施した。調査対象から発生する廃棄物は、「General waste」、「Recyclables」、「Food residues」、「Gardenwaste」の4種類に分けて重量を実測し、様々な事業規模変数を分母として発生原単位を計算するとともに、「General waste」について10種類の物理組成、用途形状に基づいて54種類の細組成を明らかにした。また、フエ市を対象にして家庭系・事業系都市廃棄物の発生原単位を用い、モンテカルロシミュレーションにより家庭系・事業系廃棄物の総発生量の区間推定を行った。 (2)一般廃棄物の収集・運搬に係る実態調査及び推定モデル構築 本研究では、ベトナム南部のカントー市を対象として、収集作業員の追跡・ビデオ撮影、作業員へのGPSの取り付けにより、収集・運搬に係る作業時間・走行軌跡データを取得し、作業時間の構成、作業速度に関する基本統計の解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、ベトナムの一般廃棄物に焦点を当て、その発生・排出、収集・運搬、処理・処分の政策・技術シナリオの政策効果分析を実施することを目的に掲げている。その検討に当たっては、特に発生・排出、収集・運搬については国によってその特性が大きく異なるため、ベトナムにおける基礎データの収集が不可欠である。 これまでに、発生・排出については、ベトナム中部のフエ市において家庭系・事業系一般廃棄物の実態調査を実施し、その発生原単位・組成に関する基礎データを集積することができた。また、収集・運搬については、北部ハノイ市における生ごみの分別収集、南部カントー市における各戸収集の実態調査を実施し、基礎データを集積したところであり、本研究の最終目的である政策効果分析に必要となる基礎データの収集は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、一般廃棄物の発生・排出について、これまでに収集した基礎データに基づいて発生原単位の影響要因の解析を進め、発生量・排出ルートの推定モデルを構築する。 収集・運搬については、中部ダナン市においてコンテナ・トラックを用いた新しい収集システムの導入等、収集効率向上に向けた取り組みが試行されているところであり、これらについて追加的に調査を実施し、これまでに調査した基礎データと合わせて各種収集システムの収集効率を比較し、収集・運搬の推定モデルを構築する。 処理・処分過程について、岡山大学で開発した意思決定支援ツール「戦略的廃棄物マネジメント支援ソフトウェア(SSWMSS)」の各種技術データベースを援用し、ベトナムの廃棄物処理における適用可能性を検討する。 以上の検討によって得られた発生・排出の推定モデル、収集・運搬の推定モデル、処理・処分の技術データを用い、ごみ発生、収集・運搬、中間処理、最終処分、再生利用までを包括的に表現する「廃棄物マネジメント・3R推進事業に係るシステムダイナミックスモデル」を構築する。このモデルを用いて、生ごみの分別収集導入、コンテナ収集導入、堆肥化・バイオガス等の3R技術導入等、様々な廃棄物マネジメント・3R推進事業シナリオを設定し、そのライフサイクルコスト・環境負荷・費用対効果等を比較評価し、その政策効果を分析する。
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