2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00329
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
辻川 信二 東京理科大学, 理学部・第二部物理学科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
GANNOUJI Radouane 東京理科大学, 理学部・第二部物理学科, 外国人特別研究員
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Keywords | 暗黒エネルギー / 密度揺らぎ / 暗黒物質 / 宇宙の大規模構造 / ヴァインシュタイン機構 / 超弦理論 / 修正重力理論 / 宇宙背景輻射 |
Research Abstract |
本年度は,修正重力理論において,どのように局所領域で一般相対論的な振る舞いを回復できるかどうかに調べた.まずは,f(R)重力理論やBrans-Dicke理論のように,スカラー自由度が実効的にポテンシャルを持つ場合におけるカメレオン機構について詳細に調べた.そのような理論を暗黒エネルギーに適用した際に,スカラー場のポテンシャルが従うべき条件を明らかにし,その結果として一般的にポテンシャルをうまく調整しない限り,カメレオン機構がうまく働く暗黒エネルギー模型を構築することが困難であることを示した. スカラー場のポテンシャルが存在しなくても,場の非線形項の存在により,宇宙の局所領域で一般相対論的な特徴を回復することが可能である.そのような機構はヴァインシュタイン機構と呼ばれており,代表的な例としては,ミンコフスキー時空で場がガリレイ対称性を満たすガリレオンと呼ばれる場がある.ガリレオンに基づく暗黒エネルギー模型の研究も盛んに行われており,最終的に宇宙が加速膨張するような解が存在する.我々は,ガリレオンを含むような一般的なスカラーテンソル理論において,どのような場合にヴァインシュタイン機構がうまく働くかについて明らかにした.特に,一般相対論的な性質を回復するような半径(ヴァインシュタイン半径)を一般的に導出し,そのような模型が同時に宇宙の後期加速膨張を引き起こす場合,ヴァインシュタイン半径が太陽系の半径よりも大きくなることを示した.さらに,同様な解析をスカラー場とガウスボンネ項が結合しているような模型にも応用し,そのような場合もヴァインシュタイン機構が働くことを示した.上記の解析は,修正重力理論に基づく有効な暗黒エネルギー模型の構築のために,重要な寄与を与えたと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
修正重力理論において,局所領域においてどのような場合にカメレオン機構とヴァインシュタイン機構が働くのかを明らかにした点において,研究は当初の計画通り,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
局所領域において一般相対論的な振る舞いを回復できるような修正重力理論を用いて,今後は有効な暗黒エネルギー模型の構築を行い,観測的な制限も含めて暗黒エネルギーの性質に迫っていく.
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Research Products
(4 results)