2011 Fiscal Year Annual Research Report
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10F00354
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 淳夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BARAPANDA Prabeer 東京大学, 大学院・工学系研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | リチウム電池 / 燃焼合成法 / 高スループット合成 |
Research Abstract |
リチウムイオン電池の正極材料として様々な鉄の2価化合物が注目を集めている。鉄は豊富な元素であり低コスト化の可能性も秘めるが、2価鉄の原料は高価であり化合物の生成には高温での長時間熱処理が必要である。また、電極特性を高めるには粒子サイズを抑制する必要があるが、これは長時間熱処理とは相反する方向である。これらの技術的障壁により、鉄系電極材料はその低コスト化可能性が議論され高い電極性能についての実証もされているものの、実際には工業化段階での様々な追加措置の必要性があり、十分にその潜在能力が社会還元されていない状況である。これを打開する手法として、3価の鉄原料と還元剤かつカーボン源としての有機物との燃焼反応時の自己発熱により、2価鉄からなる均一性の極めて高い前駆体を生成させ、これを比較的低温で短時間処理することでカーボンコートされた最終生成物を得る方法を開発した。均一性の高さに着目し、我々が開発した新電極材料Li_2FeP_2O_7について短時間合成の可能性を追求したところ、前駆体を一瞬500程度の温度環境にさらすだけで目的物を得ることができる。短時間処理により粒成長が高度に抑制され残留カーボンが分散媒体となって、理想的な電極複合体が得られることも確認され、1電子理論容量での良好な可逆電極特性が実現された。瞬間熱処理の有効性実証は、連続合成による超高スループット合成の実現に繋がる成果であり、その一般的有効性を確かめるために、LiFePO4やLiFeBO3、さらにはこれらの派生物質群を含む他の酸素酸塩の合成にも適用したところ、有効性が共通して確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
適用範囲の広い画期的な新規合成法を開発したことにより研究の基盤が整ったといえ、おおむね順調に推移していると考える。短時間で簡便に良質試料が得られる当該合成法について特許出願済みであり、論文投稿中である。得られた試料を用いて機構解析研究が一気に加速された。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に推移しており、申請書通りに推進する。開発した新合成法の特徴を生かした新規材料合成に軸足を移す。
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Research Products
(10 results)