2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00367
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
解良 聡 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HUANG Yuli 千葉大学, 大学院・融合科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 有機薄膜 / 超格子 / 電子構造 / 分子配向 / 走査トンネル顕微鏡 / 光電子分光 / 表面界面 |
Research Abstract |
固体表面における有機分子の織りなす低次元超格子構造の二次元ネットワーク構造ならびにその電子状態を高分解能光電子分光法により直接評価し、新奇な量子構造体であるナノスケール分子界面の電子機能性を議論する。分子内双極子がパイ電子平面に鉛直に立つ塩化アルミニウムフタロシアニンのダイポール超格子構造を走査トンネル顕微鏡により規定した。探針プローブの電圧印加によって、ダイポールの向きを任意に反転させることが可能であり、超高密度分子メモリの可能性が示差された。さらに高分解能紫外光電子分光測定により、価電子帯構造がダイポール方向に大きく依存することが確認され、弱い相互作用では説明がつかないほど、状態密度に劇的な変化が生じることを見出した。さらに温度依存性の測定から同様にして電子状態密度の変化を検出した。分子基板間の吸着距離の変化が寄与していると考えられる。分子双極子場による電子構造への影響は分子内電荷再分配が考えられるが、理論計算による評価を併せて検討する必要がある。今後、固体表面における双極子場の自己組織化のメカニズムを電子論的な観点から議論する手掛かりとなる結果を得たとともに、配向分子薄膜を利用した界面における電場制御の可能性が開かれた。今後、弱い相互作用により発現する有機半導体の光・電子機能性の根源を理解するための第一歩が開かれたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
23年度当初計画の実験は実施でき、有機半導体の界面電子構造問題において多くの成果が得られたが、有機二成分ヘテロ界面の電子構造については、想定した事象外の結果も現れており、明確な成果を見出すにはいたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
双極子場が吸着構造に及ぼす影響と、電子構造の関係を明らかにするために光電子強度放出分布の二次元波数空間測定を行い、分子電子雲の広がりの観点から直接的に議論する。また新奇に観測されたヘテロ界面における電子構造の起源を明確にするために装置改良を行い、極低温状態での電子分光測定を検討している。
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Research Products
(8 results)