2010 Fiscal Year Annual Research Report
次次世代ニッケル基ナノ合金の計算科学的手法によるデザイン
Project/Area Number |
10F00370
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
尾方 成信 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG Yunjiang 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ニッケル基合金 / 高温強度 / 時間加速モデリング / 拡散 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
ニッケル基合金は高温強度に優れ、耐高温強度が要求されるジェットエンジンやガスタービンのブレードなどに広く使用されている。しかしながら、昨今のさらなる熱機関のエネルギー高効率化やCO2削減などの環境負荷低減への要請から、材料には一層の高温強度の向上が求められている。その実現のために、我が国をはじめ世界中で多くの努力が払われてきているが、ニッケル基合金がなぜ高温強度に優れるかについての理解が不十分なため、絨緞爆撃的に合金組成や内部組織を変化させるなど、その開発は試行錯誤的になっているのが現状である。そこで本研究では、新たに開発する原子・電子レベルの時間加速モデリング法に立脚して、原子・電子レベルからその優れた高温強度発現のメカニズムを明らかにするとともに、ナノスケールで内部構造を制御された次次世代の高強度高温構造材料の開発に向けてのユニバーサルな設計指針を確立し、新たなナノ高温強度材料の提案を目指す。高温下では、原子拡散現象に起因する結晶中の各種欠陥挙動が結晶材料全体の機械的特性に大きな影響を与える。しかし、これらの挙動は原子振動の時間スケールに比べ極めて長時間で起こるため、これまでの原子・電子レベルのモデリング手法では時間スケールの問題により、取り扱うことができなかった。そこで、高温強度発現メカニズム解明に向けての初期研究として、本年度はまず、時間を加速することができる時間加速分子動力学手法を新規に確立することで、拡散現象を原子スケールで詳細に取り扱うためのツールを獲得した。そして、本手法を結晶中の不純物拡散問題に適用し、実験データーとの比較検討から手法の有効性を明らかにした。さらには、次年度以降に実施する、ニッケル多結晶体の変形メカニズム解明に本手法を適用するための理論構築をおこなった。
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