2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00382
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
大場 修 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KUO Yawen 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 日本統治時期 / 台湾 / 日式住宅 / 日本人住宅地 / 居住実態 / 台湾総督府 / 供給型住宅 / 官舎 |
Research Abstract |
本研究は、日本植民地であった台湾を事例として、当時の日本人よる海外居住の実相を明確にすることを目指している。具体的には、持家についての研究で明らかにされた知見に基づき、日式住宅の借家(供給型住宅)についても着目し、その住宅地の形成過程および建設経緯をはじめ建築的特徴や居住実態を把握することを目的している。当時の供給型住宅は、植民政府や公的機関が建設した住宅で、居住対象によって、官舎、社宅、営団住宅、移民住宅の四種に分類することができた。その中で、本研究はまず、当時の持家住宅地(旧昭和町)の近くに建設された「大学官舎」を調査対象として、文献史料・資料調査と住宅遺構の実態調査、日本人居住者を対象とするインタビュー調査を行った。 平成22年度は、研究分担者は2度にわたり、当時の台湾総督府に関する書物、新聞や公文類纂などの史料・資料が残されている國立中央圖書館台臺灣分館と國史館臺灣文獻館に文献史料・資料の調査を行った。これまでに日本統治時期の地図や地形図を入手したが、日式住宅に関する史料や図面については、文獻館で当時の資料を閲覧するための電子化システムを導入している最中であるため、現在は、調査することが出来ない状況となっている。 そのような中で今年度は、台湾の供給型住宅の制度について調べ、当時、官舎に関する制度も制定されていたことが分かった。官舎は、居住者の職階の高低によって「高等官官舎」と「判任官官舎」に分けられ、前者は総督府直属の高級官僚向け、後者は州庁群課長、支庁長、支署長などの一般官僚向けに大別された。官舎に関する取り決めである「官舎建築標準」は、日本植民政府が官舎の建設に関して初めて出した条文であり、まず、1905年に「判任官以下官舎設計標準」が、次いで1922年には「臺灣總督府官舎建築標準」が定められ、各地の官舎に対する規則となったことが分かった。1922年に、新たに制定された「臺灣總督府官舎建築標準」の規定によると、官舎は八種あり、高等官官舎には第一種、第二種、第三種、第四種が、判任官官舎では甲種、乙種、丙種、丁種があることが分かった。
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