2010 Fiscal Year Annual Research Report
無秩序性の制御による強誘電体散漫相転移の発現機構の解明
Project/Area Number |
10F00383
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 満 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SOON Hwee ping 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 強誘電相転移 / 散漫相転移 / 銀タンタレート / ペロブスカイト |
Research Abstract |
(1)Soon氏が発見した新しい材料系列(Ag,Li)TiO_3(ALT)における相転移系列をさらに定量的に解釈するため、(Ag,Li)TiO_3系でLi量を変えた試料(セラミックス、単結晶)を作製し、ペロブスカイトのAサイトを小イオンリチウムで置換した場合の強誘電相の安定化を、分極ナノ領域(PNR)の生成と絡めて議論した。またALTと類似の系である(KLi)TaO_3(KLT)も作製し、同じ量子常誘電性のマトリックスで誘電率の値の差(ALT : ε=250 at 2K, KLT : ε=4500 at 2K)が相転移に及ぼす影響についても議論した。その結果、x≒0,0<x<0.02,x≧0.02の3つの領域でそれぞれQP,DPT、FEが出現することが確認された。x=0.12の試料は、P=10μC/cm^2程度の強誘電体であることを確認した。またラマンスペクトルの測定から、T_c=258KのFE相はFEソフトモードの凍結が支配するタイプでないことも確認した。 (2)Aサイトに存在する小イオンLiが作り出すオフセンター由来の誘起双極子の役割をX線構造解析、中性子線構造解析、および第一原理計算により解析し、これまで申請者のグループで提唱してきたオフセンターダイポールによる強誘電相の安定化について議論した。この結果はミシガン大学のグループと共同で論文を投稿予定である。 (3)TEMとピエゾ顕微鏡(PFM)を用いて、分極ナノ領域(PNR)を直接観察するとともに、温度変化に伴うサイズの変化を直接観察した。平行してKLTに対しても同様な実験を行い、結果を比較検討した。
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