2011 Fiscal Year Annual Research Report
イネの雑種花粉不稔遺伝子S19のポジショナルクローニング
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10F00401
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉村 淳 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN NgocGiao 九州大学, 大学院・農学研究院, 外国人特別研究員
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Keywords | SK35/SK36 / gene duplication / reproductive isolation / BDM model / Pollen sterility |
Research Abstract |
当初研究計画ではO. sativa/O. glaberrima交雑後代に見出されたF_1花粉不稔遺伝子座S19の単離を目指していたが、Giao氏滞在期間中の単離の困難さ、および国際的な生殖的隔離研究の動向を見極め、重複遺伝子の機能喪失モデルによって説明可能なO. sativa/O. rufipogon交雑後代のF_1花粉不稔遺伝子座SK35およびSK36の単離に研究テーマを変更して実験を行っている。 Giao氏はSK35およびSK36の候補遺伝子を含むゲノムコンストラクトを用いて、花粉半不稔を示す個体への形質転換を行い、T_0およびT_1世代における相補性検定を行った。トランスジーンを1コピーのみ保有する遺伝子の後代T_1集団における遺伝子型の分離にもとづき、T_0における不稔花粉の稔性の獲得を確認し、原因遺伝子がPG1である事を特定した。その後Giao氏はRACE法およびRT-PCR法により、機能型対立遺伝子であるSK35-T65^+およびSK36-niv^+対立遺伝子の構造を明らかにし、両者のコード配列領域は同一であることを示した。その後、発現解析を行い、RT-PCR法では、葉、葉鞘、根、葯におけるPG1遺伝子の発現を観察した。一方、SK35-T65対立遺伝子由来プロモーターとGUS遺伝子の融合コンストラクトを用いたpromoter-GUSアッセイでは、葯のみにおいて弱いGUSシグナルを観察し、葉、葉鞘、根では発現を観察することができなかった。Promoter-GUS解析では観察できない程度の低い発現量であると考えられるが、現在、プロモーター部位を一部再クローニングしなおし、異なるコンストラクトを用いての再確認実験を行っている。 また、PG1の酵母オーソログはtRNAなどの小分子RNAの転写に関与していることが知られているので、正常個体および花粉半不稔個体の花粉粒から抽出したtRNAを対象としたQRT-PCRに着手した。さらに、酵母でのPG1オーソログが欠損した系統にイネ由来cDNA導入する事でPG1遺伝子の機能の証明を行うため、酵母突然変異系統のヘテロ接合体を入手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子単離に成功し、発現解析に着手しているが、RT-PCRとGUS解析に少し遅れが生じている。機能解析では酵母突然変異系統の候補系統を既に取り寄せており、現在半数体細胞の単離を行っており、うまく行けば機能解析は順調に終了させることができると考えている。滞在期間中での論文公表を考えており、実験が終了している箇所については論文執筆をスタートさせ、順次論文化を図っている。
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Strategy for Future Research Activity |
Promoter-GUS解析について新規コンストラクトを導入したT_0個体は既に得られており、出穂時に、GUSアッセイを行う。RT-PCRについてはtRNAおよびPG1遺伝子のQRT-PCRを順次進める。酵母突然変異体の単離については、現在ヘテロ接合体系統を得ているので、胞子形成を促して、半数体系統の確立を目指す。確立後は、既に作製済みのイネcDNA発現コンストラクトを導入し、表現型解析を進める。以上のデータを論文に記載し、投稿を行う。
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