2010 Fiscal Year Annual Research Report
バングラデシュ国閉経期女性の高血圧リスク因子に関する社会統計学及び遺伝学的研究
Project/Area Number |
10F00517
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Research Institution | Research Institute, International Medical Center of Japan |
Principal Investigator |
木村 壯介 独立行政法人国立国際医療研究センター, 院長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ISLAM A.M.Shahidul 独立行政法人国立国際医療研究センター, 外国人特別研究員
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Keywords | バングラデシュ / 農村部 / 高血圧 / メタボリック症候群 / 危険因子 / 社会経済的 / 遺伝的 / 閉経後 |
Research Abstract |
具体的内容 我々はバングラデシュ農村部における横断研究を研究費申請時の計画通りに開始した。本年度は約2400人を対象に、WHO STEPS法に従った段階的調査研究のためのアンケート調査票をバングラデシュ現地言語にて作成した。予備調査後、現地での拡声器を用いた呼びかけや訪問等による地域に合わせたコミュニケーションで調査対象の村からランダムに対象者を抽出した。調査対象者に対して、各家庭での問診調査後、現地の移動検診センターでの診察・測定・早朝空腹状態での血液検体採取を実施した。15歳以上でインフォームド・コンセントの書面提出を参加資格とした。グラミーン健康財団およびバングラデシュ現地での保健機関の審査・承認のもとで実施された。 意義 2010年度調査の結果概要を示す。 バングラデシュ国農村部におけるメタボリック症候群(modified NCEP ATP III criteria)の有病率は35.6%。 (1)高血圧は29.4%であり、年齢階層別の高血圧有病率は、1.97%(<25歳),6.92%(25-34歳),24.39%(35-44歳),43.32%(45-54歳),60.23%(55-64歳),74.32%(≧65歳)であった。 (2)高血圧の家族歴とメタボリック症候群の有無には統計的有意な相関(p=0.003)を認めた。 (3)メタボリック症候群患者の危険因子の有病率は、低HDL血症は高率、腹囲高値は低率であった。 (4)土地所有者群、家族住居空間を有する群、および教育歴を有する群においてメタボリック症候群有病率が高率である傾向を認めた。 これらの調査結果は、疾病予防の観点のみならず、バングラデシュ国の同地域における公衆衛生保健の改善のために有用である。 重要性 メタボリック症候群や高血圧症等の調査研究の意義は、調査の拡大・継続によって更に高まると考えられる。農村部における今後の社会経済的な発展が避けられない現状では、その延長線上に予測しうる健康障害を軽減・回避するために、リスクの予防策や保健衛生学的措置を計画的に講じる必要がある。更に同様の調査研究の対象は、農村・都市部を問わず、貧困層の人々へも焦点を合わせて拡大する必要があると考えられる。
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