2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00712
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木村 宏 大阪大学, 生命機能研究科, 准教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STASEVICH Timothy J. 大阪大学, 生命機能研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 転写制御 / RNAポリメラーゼ / 細胞核 / 翻訳後修飾 / FRAP / エピジェネティクス |
Research Abstract |
真核生物のRNAポリメラーゼIIは、遺伝子の転写を担う重要な酵素であり、十数個のサブユニットから構成される。生きた細胞の中で、RNAポリメラーゼがどのように転写開始、伸長、終結を行うのかを明らかにすることは、遺伝子発現制御を理解するうえで非常に重要である。これまでにもGFP融合蛋白質を用いてRNAポリメラーゼIIの生細胞における分子動態が解析されてきたが、個々の報告で異なるモデルと結果が得られておりその全容の解明には至っていない。本研究では、RNAポリメラーゼIIのプロモータ上へのリクルート、転写開始、転写伸長の各ステップに至るキネティクスを明らかにするとともに、ヒストン修飾などクロマチン構造の変化と転写制御の関係を生きた細胞で明らかにすることを目的とする。具体的には、RNAポリメラーゼIIやヒストンの翻訳後修飾を特異的に認識する抗体からFabを調製し、蛍光標識したのち、生きた細胞に導入することで、内在性のヒストンとRNAポリメラーゼIIを検出する。本年度は、共焦点顕微鏡を用いて、GFP融合転写因子と二つの修飾を同時に高解像度で追跡するシステムを構築し、転写誘導が可能な遺伝子アレイを持つ細胞を用いて、刺激により転写因子とRNAポリメラーゼIIの遺伝子アレイへの集積を可視化することに成功した。さらに、その集積を定量的に解析するための独自の画像解析法を確立したほか、FPAP (fluorescence recovery after photobleaching)を用いて結合成分の割合を求めることにより、RNAポリメラーゼIIの集積と転写開始、伸長に関わる速度と量についての解析を行っている。また、修飾特異的ヒストンを同時に可視化することにより、転写誘導に伴う遺伝子アレイ上のヒストン修飾の変化を追跡することも可能になった。
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