2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10F00743
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷村 吉隆 京都大学, 理学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DIJKSTRA A.G. 京都大学, 理学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | 量子情報 / 非マルコフ性 / コンカレンス |
Research Abstract |
本年度は非マルコフ性について研究を行った。まず階層型方程式を用いて結合した2つの二準位系がそれぞれ熱浴に結合している問題を考えた。非線形応答関数を計算する手法を応用することにより、この系のコンカレンスと呼ばれる物理量をシュミレーションし、コンカレンスがマルコフ的な場合はゼロに緩和するのに対し、非マルコフ的な場合は有限な値にとどまることを発見した。本研究で用いたモデルは光合成アンテナ系を解析する上でも有用である。近年、光合成アンテナ系は、量子情報理論で重用とされる量子コヒーレンスを長時間保持できる系として注目を集めているが、本研究で開発する手法はそのような研究目的に最適であり、光合成系アンテナ系やP545、DNA系などをモデルとした量子情報理論における熱浴との量子コヒーレンスの重要性についての議論も可能である。さらにこの結果を発展させ、非マルコフ性と呼ばれる物理量をスピン・ボゾン系について応答関数理論を応用することにより解析的に研究を行った。この結果は非マルコフ性にはノイズの有限相関による動的なものと、熱浴と系のコヒーレンスによる初期相関によるものの二種類があることが示され、それがさらにフォトンエコーで観測される物理量に密接に関係していることが示された。これらの結果は熱的励起より共鳴準位が高い場合についてであるが、共鳴準位が低い場合でも階層方程式を用いれば調査可能である。その拡張を行いさらに多次元分光に結びつけるプログラムを作成した。
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Research Products
(9 results)